▼This cloudy 2015/05/06 04:13
「あの、機嫌を直していただけないでしょうか」
正直仕事よりももっとキツい、嫁の不機嫌。原因など見当もつかないそれは、帰宅してすぐに襲ってきた。
元来、何を考えているのか分からないタイプだし時々訳のわからない彼女なりの哲学に基づいたことを言い出すやつなのは長年の付き合いで慣れている。しかし、今回は一体どうしたもんか。いつもは大体俺が悪い。だが全く覚えがない。
「せめて何か言ってください」
「……」
だんまりを決め込む彼女の表情すら伺えない。せめて顔だけでも見せてほしい。なんせ数ヶ月の任務の後今さっきフランス本部から直帰してきたというのに最愛の嫁の顔が見れないとか甲斐が無い。
「……流星さん」
「は、はいっ!」
なんでさん付けなんだ、とか思ったけど漸く声を聞かせてくれたのがほんの少し嬉しい。
たぶん、俺だいぶ疲れてる。早く癒されたい。そのためにも早く機嫌を直していただきたいのだが。
「いい加減、私のこと好みじゃないの認めたらどうですか」
「……はい?」
「こんなものを見つけました」
そして、全力投擲されたなにか
俺の心臓は彼女の前ではひどく脆弱なものになってしまうらしい
「あのですね、これは、俺の趣味でなくて」
俺は妻帯者だというのにお茶目な上司がある時押し付けてきたブツ。如何わしい映像の入ってるアレである。
そして最も問題なのはタイトルだった。
「悪かったわね、挟むほどなくて」
「だからこれ、俺のじゃな」
「インガさんも友子ちゃんも立派なものをお持ちですものね」
「なんでそこでその二人が出てくる」
確かに、こいつはもう少し肉付きが良くてもいいとは思うのだけど。あと好みとお前への愛は別だと何度言ったらいいんだ。いやだから俺の趣味じゃないからそれ別に。
でもそういうの気にするところ、かわいいからいいと思います。
立派なものをお持ちのところが書きたかっただけ
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