▼猫、学校へ行く(1/6)
「んっ…、はぁ…はぁ…っ」
朝日が差し込む真っ白な内装の寝室。
真っ白なベッドの上で黒髪の少年が苦しげに息を乱している。
「て…、天使さま…っ」
少年は隣で寝ている端整な顔立ちの青年の肩を揺する。お互いに衣服は何も身に付けていない。しかし少年には、コスプレとは思えないリアルな黒い猫耳と尻尾が生えている。
「…ん… どしたの? クロがこんな早くに目覚めるなんて初めてだね」
青年は起き上がると、クロと呼んだ少年の額に口付けた。その柔らかな唇の感触にクロはピクンッと体を震わせてしまう。
「天使さま…僕、なんか変なんです…!身体中が熱くて、ムズムズしてっ…」
猫耳と尻尾をピクピクと揺らしてクロは青年を見詰める。その目は右目が青くて左が金色だ。
美しい宝石を見るようにうっとりと見つめ返して青年はクロの頭を撫でる。
「そっか。クロにもついに来ちゃったんだね。発情期が」
「…はつじょーき…?」
「そう。猫はね、時期を迎えると本能的に欲情してしまうようになるんだよ。…ああっ いたいけなクロがとうとう大人の階段を一歩登ってしまったんだね…!」
大げさに嘆きながら青年はクロを抱き締める。そして掲げた手のひらからポウッと光を放つ。すると光の中から一枚の白い羽が出現した。
「…でも、発情したクロもとっても蠱惑的で素敵だよ」
「こわくてき…? なに、それ?」
「いじめたくなっちゃうくらい可愛すぎるってこと」
「んにゃっ…!?」
手にした羽の先でクロの背中をそっと撫で上げる。
ゾクゾクとした甘い痺れが走ってクロは思わず身をすくめた。
「やっ、あ…!くすぐったいです、天使さまっ…!」
「くすぐったいだけ?」
青年はクロを押し倒して、いたずらに首筋や鎖骨を撫でていく。柔らかで繊細な羽の感触にクロは何度も体をビクつかせてしまう。
「…っふにゃ!?」
羽が胸の突起に触れる。今まで以上に強い痺れが沸き起こってクロは戸惑いながらも淫らな悲鳴を漏らした。
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