響の口の中はウイスキーの香りがして苦かった。甘くて弱い酒しか飲めない俺はその香りだけでも酔いが回ってしまう。

「…下手くそ。だからこうだって」
「んっ…!んんっ」

自分なりに懸命に舌を動かしていたら、響に頭を掴まれて舌で舌を絡めとられた。
舌使いも、顎に添えられた手にまでも色気を感じて、幼馴染でしかも男だとわかっているのにゾクゾクしてしまう。

「っはぁ…!もっ、もういいよっ…!」
「優紀が教えろって言ったんだろ」

……確かに、テクニックを教えろと言ったのは俺だ。

彼女に「キスが下手。セックスが物足りない」だの散々言われて振られて、傷心しきった俺は幼馴染の響の家でヤケ酒をした。
愚痴る俺に響は「下手なのが悪い」としれっと言いやがった。中学の頃からモテまくって易々と経験を重ねてきた響に俺の苦労はわかるまい。
酔った勢いで俺は「じゃあお前の超絶テクニックを実践で教えてくれよ」と言い放ってやった。

笑われるか呆れられるか「きしょい事言うな」とぶっ叩かれるかのどれかだと思っていた。…なのに響は「いいよ」とあっさり答えて俺にキスをしてきたのだ。


「もっと舌伸ばせ」
「っふ…! ん…っ」

言われるがまま舌を伸ばして響の口の中をまさぐる。唾液が溢れてくちゅくちゅと恥ずかしい水音が鼓膜を揺さぶった。
舌を伸ばしたままじゃ唾液をうまく飲み込めなくて口の端からこぼれ落ちる。すると響がそれを舌ですくい取った。

「ぅあっ!?」

顎を伝い、舌が首筋へと下りていく。柔らかい舌が首をくすぐってまた背筋がゾクゾクと痺れた。

「ま、待っ…ちょっ…響…っ!」
「超絶テクニックを披露してやってんだから暴れんな。どうせお前こういう事相手にしてやったことないだろ?」
「っう…!」

響の言う通り、俺は首を舐めるなんてそんな高等な技術は知らない。これが熟練者のテクニックかと感心しながらも俺は未知の感覚に戸惑う。

「く、ふっ…!ぅ…!」

首がこんなに敏感だなんて知らなかった。舌が下から上へと這って行くと同時にこそばゆい疼きが駆け上がってくる。思わず上ずった声を漏らしてしまうのが恥ずかしくて手の甲で口を塞ぐ。

「んっ!んんぅっ!」

首元を緩く噛まれるとビリッと強い衝撃が弾けた。そのどさくさに紛れて響の手が俺のシャツの中に入ってきて胸を撫でる。羞恥と疼きがますます込み上げて、それにアルコールの感覚も混ざって頭の中がめちゃくちゃに回りだす。

「そこまでっ…やんなくても…!」
「だから暴れんな。黙ってやり方を覚えろ」
「ふああッ!」

胸の突起を指先で引っ掻かれる。快感で真っ白になって響の手ほどきを覚える余裕なんてなかった。酒で理性も薄れていた俺はすっかり快楽の虜になってしまって響にされるがまま悶え続けた。




「あ、あっ、…ひあ…ッ!?」

いつの間にかズボンの前を開けられて、パンツの中に差し入ってきた手が直に俺のモノを握った。そこはギンギンに立ち上がって欲情を主張していた。指の腹が溢れる先走りをまとわせてヌルリと先端を撫でる。

「やっ…!そこは、関係ないだろっ…!」
「ある」
「は…!? こっこんなのいつ使うっつーんだよ!」
「俺にするとき」

真っ直ぐに俺を見つめて響は言った。その顔は冗談を言ってるようでもなく真剣な表情だった。脳内が回りすぎて言葉の意味を理解できない。

「…今までずっと我慢してたのに馬鹿みたいに誘ってきやがって」
「っん…!ん、んぅうっ!」

思考が停止して固まる俺に響は乱暴に口付けた。さっきまでの色気のあるものとは違う、貪るようなキス。
どちらの唾液かもわからないくらいぐちゃぐちゃに舌を絡ませながら響は荒々しく俺のモノを扱き立てる。

「んんっ…!ふ、ううぅっ!」

限界が近づいてきて体が強張る。それに気づいたのか響はさらに動きを速めて追い込んでいく。

「この感覚、忘れんなよ。…つーかこれからも教え込むけど」
「ふ、あっ!ああぁッ!!」

低い囁き声に心臓がゾクリと震えて同時に下半身が熱く脈打った。狂おしいほど甘い解放感に襲われて無意識に響を強く抱きしめる。響の体は思っていた以上に熱く火照っていた。

「…ここまでにしとく? それとも、その先も知りたい?」

熱のこもった目で俺を見据えて響は挑発的に微笑む。
俺はビクビクと震えながら小さく頷いた。

end

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