最近、ことあるごとに胸に違和感を感じる。以前からあったそれは、聖石矢魔に来てから増えた。
初めは病気かと思ったが、別に生活に支障があるわけではなかったし、段々と気にならなくなった。
ただ、違和感の原因は分からず、それだけは気がかりだった。





ある日、たまたま歩いて帰る気分だった俺は、車を呼ばず商店街を歩いていた。
そして、目の前から好みの見た目をした女が歩いてきて、たまたまそういう気分だったので、金をちらつかせてホテルへと入った。

いざことに及ぼうとしたら、また、あの違和感を感じた。しかもだ・・・。

「どうしたの?」

急に動かなくなった俺を不思議に思ったのか、小首を傾げる女が、金髪の女が、

神崎と重なるだなんて――――

あり得ない。
自分の脳内に神崎を認識した途端昂るだなんてもっとあり得ない。


結局その女相手に勃たなくなってそのまま帰った。






それからだ、神崎がやたらと夢に出てくる。笑ってたり泣いてたり、俺の前では決して見せない表情の神崎。それだけでも意味不明なのに、勘弁して欲しいことに、如何わしい夢。つまり、神崎にあんなことそんなことをしている夢まで見るのだから笑えない。
そんな夢を見るようになってから、神崎相手に余裕を持てなくなった。しかも、如何わしい夢なんぞ見た日には、何故か悪いことをした気になる。俺は何も悪くないはずなのに。

女遊びがめっきり減った。女相手にあまり燃えなくなったからだ。神崎を意識してしまいできないというのもあるが・・・。


全くもっていい迷惑だ。何なんだいったい。どれだけ俺の思考を妨げれば気がすむ。
欲求不満も重なって、俺はなかなかに不機嫌だった。
イライラして、机を指でこんこんと叩く。放課後で、教室には俺だけだったので、それを咎める奴はいなかった。

「神崎、か・・・」

一人呟いてため息をつく。もう帰ろうとした時、


「姫川・・・?」
「神崎」

教室に神崎が入ってきた。

「まだいたのか」
「てめえこそ、何してたんだよ」
「あ?俺はケンカ」

そう言う神崎は、よく見ると口の端が切れていた。

「・・・血出てんぞ」
「あ?あー、別にこんくらいほっときゃいいだろ」
「まぁ、な・・・」

それだけの会話。なのに、さっきまでのイライラがすっと消えるのだから不思議だ。

「姫川?」

黙る俺に小首を傾げる神崎が可愛い。・・・・・・可愛い?
いや、そんなまさか・・・。

「な、何だよ?」

神崎を凝視していたら、怪訝な顔をされた。
俺は何でもない、と答える。




わかってしまった。この胸の違和感の原因を。
俺は・・・神崎が好きなのだ。



そう理解した瞬間、目の前の神崎が欲しくてたまらなくなった。
俺のものにしたい。
その欲求に従うように、俺は神崎の腕を掴んだ。







自覚したら、次やることは一つだろう――――












こっから姫川の猛攻撃が始まるといい←



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