ナオとジュダルの纏うルフは
黒と青が調和し、そこには
絶望など無かった





のだが。






「…俺に触んな」






──ジュダルは目から涙を溢しながら
そう言ってナオの手を振り払った。





「…ジュダル?」


「俺は、オマエみたいに
綺麗な人間じゃねえから。」






ジュダルはさっきまでの欲望とは裏腹に、
ナオを汚したくないと感じていた。




ふと、

自分のような血で
染まった手で触れていいのか?


…そう思った。




彼女が堕転しなかった今、
自分とは一緒にいては
いけないのではないか。


そんな言葉が頭をよぎる。






「俺は、戦争が好きだ。
殺し合いが好きだ。

…オマエとは違うんだよ、」






ジュダルの周りの黒いルフがざわめく。


ジュダルは静かに言った。

そしてその声は
今にも消えてしまいそうで。






しかし、一方のナオはそれを
温かく包み込むように続ける。





「…そんなことどうだっていいよ、」


「でも俺は…!」


「ジュダル!!!」








ナオは、ニッコリ笑った。





「ジュダルはジュダルだよ、
私はジュダルに救われた。

それは事実でしょう?」



「…っ、」






「私はあなたが、好き」











───ジュダルの中で、
何かが切れる音がした。



そして再びナオを優しく抱き締める。


まるで割れ物に触れるように
壊れぬように優しく、でも強く──。







─目の前の少女は初めて
 マギでない俺を必要としてくれた。


─初めて好きだといってくれた。


─初めて、好きになった。






そんな想いを抱きながら。





キミは一人の人間として
"俺"を求めてくれた。




運命が憎くて忘れていたけれど、
ずっとその一言を求めていた気がした。










「…俺で、いいのか?」


「ジュダルじゃないと嫌だよ」





二人を、またナオの
暖かいルフが包む。








「なあ、ナオ…」








ジュダルはナオの
額にそっと唇を触れさせた。










「ずっと、…俺の側にいろよ、」


 (夜明けの訪れ)
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