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それはあるいは、罰にも似た肉欲の疼きだった。狭まった穴に硬く張り詰めた肉棒を抽迭する。肉同士のぶつかる音と最早どちらのともわからない荒げた吐息だけが、こもった室内に響いていた。絡めとるように舌を合わせると、星矢はいっとう艶やかに微笑んで、わたしの舌を咎めるように甘く噛んだ。

・・・

いつからかもう覚えていないが、少なくともあのサターンの侵攻を退けてからではあった。神同士の戦いも落ち着いていて、地上はつかの間の平和を謳歌していた。およそ暇すぎるほどだ、と書類仕事ばかりのハービンジャーがよくぼやき、貴鬼も小さな修復ばかりで腕が訛る、と肩を回していた。平和すぎる、ということにはわたしも同意見だった。しかし喜ばしいことに変わりはないので、時に細々した任務をこなしつつそれなりに過ごしていた。乙女座の聖衣も肌に馴染んできた、と感じる程度には。

それと同時に少しづつ、時々体がぞわりと粟立つような感覚を憶えることが増えた。それとなく貴鬼やハービンジャーにも聞いてみたが、二人とも憶えはないと言ったから、わたしの問題なのだろう。それは悪寒にも似たような、でも恐怖から来るものではない。精神が浮き立つような、水を浴びるような、そういった瞬間的な感覚と、それに引き摺られるような肉体の確かな疼き。何かが迫っているというわけでは、おそらくない。これはもっと何か、おそらくわたしが向き合わなければならないものだった。

その感覚がおよそ見過ごせなくなってきたころ、星矢もおよそわたしと同じ飢えに陥っていることを直感した。態度に出ているわけではない。もともと精神的なものだ。けれども、星矢の渇いたような瞳と目が合うたび、この感覚が同じであることを気付かされた。肉体が共鳴するような奇妙な感覚があった。
一度だけ「何かあるのかもな」と困ったように茶化されて、わたしも曖昧に笑うしかなかった。




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