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「明、あきら」
「ん…ン、了?」

了の俺を呼ぶ声を聴いて、やっと自分からあの感覚が抜けていることを知った。了の力を借りつつ明から離れる。
地面でずぶずぶに溶けていたせいで足腰にも腕にもろくに力が入らず、どころか数分はまともな受け答えさえできなかった。

キマっていたのはせいぜい数分とか長くても十数分くらいだと思ったが、了の話だと少なくとも三十分から一時間は経っていたらしい。

「車まで自分で歩けるか?流石にお前を抱えて歩くのは無理だ」
「ン、ァ、ぅー…歩、け、…」

ことばとは裏腹にへたりと地面に座り込んでしまう。足腰にまったく力が入らなかった。明も同様のようだった。

「無理みたいだな」
「ごめん」
「どうするかな」

仕方なく1人ずつ肩を貸して運ぶらしかった。両肩を了と飛鳥に担がれて、半ば引きずられるように車の後部座席に放り込まれる。
そのまま座席に寝転んでぼうっとしてたら、上から明が被さってきて、ドアが閉められた。運転席と助手席のドアが閉まる音がして、発進する。

後部座席はいかつい男2人が寝転ぶにはちょっと狭かった。車が止まったり動いたりするたびにもうほとんど動く気のない俺と明が擦れあって、どちらとも言えず「んぅ」とか「んあ」とかいう声が漏れた。

明の太ももが俺の内腿あたりを撫でる。明は愉しそうにおれの股間に脚を擦り付けてくる。ふう、ふう、と興奮した息が重なる。

「おい、後部座席でサカるな」

助手席から飛鳥の声がする。

「おれのせいじゃねーだろお」
「お前のとこの明だろう、ちゃんとしつけておけ」
「ふふん」
「…こっちだって困るんだ」

俺達がヨクジョーしているのにつられているらしかった。そういえば飛鳥は普段こんなに喋ったりしない。

「妬いてんだぜ、あいつ」
「悪い男だなあ、おまえも」
「うるさい。おい了、もっと飛ばせ」
「最大スピードだ」




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