風丸と吹雪は大変仲がよろしかった。共通点といえば二人とも足が速いだけで他に目立つ共通点は無い。甘えてくる吹雪とそれを受け入れる風丸は相性がよかったのだろう。

「吹雪君はアイス差し入れもらったんだけどバニラとチョコどっちがいい?」

吹雪を弟のように扱う木野は吹雪の前に先ほど炎天下の中練習するサッカー部を見兼ねた響監督からもらった部員への差し入れの棒アイスを差し出した。うーん、と唸りながらやっと吹雪が手に取ったのはバニラだった。

「ありがとう、風丸君はどうする?」

吹雪は自分の近くにいた風丸に声を掛けると風丸は吹雪のアイスを見た。

「吹雪がバニラなら俺もバニラでいいよ」

「風丸君もバニラ好きなの?」

「吹雪が好きだからな」

風丸はひょいとバニラのアイスを引き抜き、吹雪が感激していればそう言った。木野は訝しげに二人を見るだけで追及するのは止したほうがいいと空気で感じた。

「吹雪は食べるの遅いな、今日は暑いから溶けるの早いぞ?」

「風丸君が早いんだよ」

風丸がアイスを食べ終わる頃、吹雪のアイスは半分以上残っていた。吹雪は元々少食で食べるのが遅い、食堂でいつも最後の方まで残ってご飯を頬張っている。その時も風丸は吹雪を待っていた。

「慌てなくていいよ」

「でも………」

吹雪がアイスを食べるのを止めた瞬間、棒からアイスが吹雪の手に落ちた。吹雪が慌てて水道の方に行こうと立ち上がると、風丸はアイスが滴り落ちる吹雪の手を舐める。

「か……かかかっ風丸!」

「勿体ないだろ?」

「うぅ………くすぐったいよ」

吹雪は風丸を引き離さずに手を舐められるのにじっと耐えていた。やはり木野は訝しげに二人を見つめる。だが踏み入ってはいけない世界だと思い散策はやめた。


「吹雪…………」

「なぁに?今日は随分甘えん坊さんだね」

「吹雪がかわいいからだ」

「風丸君も可愛いよ?」

日陰にいる吹雪は風丸に膝枕をして吹雪は白く細い手で風丸の頭を撫でた。

部員はこのカップルは幸せで風丸が羨ましいと思いつつもアイスを食べるしか無かった。



恋人は裏キャプテン

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アイスネタを書きたかったんだ


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