「士郎、式はいつ開く?」

フィディオと日本で再開した時の第一声がこれだ。雷門中の前にかっこいい外国人がいる、と話題になっていたから興味本位で吹雪がそのかっこいい外国人を見に行けばフィディオがいた。

「式は開かないよ…」

「……式開かなきゃ結婚した感じしないだろ?」

「そうじゃなくって!」

フィディオと吹雪の会話は素晴らしいほど噛み合ってはいない、国が違うと話の展開も思考も違うのかと吹雪は溜め息をつくしかない。

「新婚旅行はどこにしようか、やっぱりライオスコット島?」

やっぱり吹雪の話をフィディオは聞いちゃいない。
周りには帰る生徒達の見せ物になっている、確かに北海道から来た雪原の皇子とサッカーイタリア選手が話をしていていれば確かに少なくとも女子は立ち止まるだろう。

「こんな所で話さないでよ……目立つ…」

「じゃあ目立たない所なら何してもいいの?」

吹雪がフィディオに小声で話すもフィディオは大声でいちいち話すせいで野次馬はおぉっ、と声をあげて人混みをつくる。

「士郎は子供何人つくる?俺はいっぱい欲しいな、大家族に憧れてるんだ」

「やだっ……何言って」

吹雪はすっかり真っ赤になり、完全にフィディオのペースである。それに加え野次馬は騒がしく、野次馬に囲まれていて逃げ出すことさえ不可能。
これほどまでに雷門中の生徒を恨んだことはないだろう。

明日から学校中で話題になってからかわれるんじゃないか、そう考えればじわりと吹雪の目に涙が浮かぶ。

「士郎?どうしたの?」

「フィディオのばか!ほっといてよ!」

「士郎!?」

フィディオがうつむく吹雪を覗き込むと吹雪は一目散に走りだすと人混みは吹雪の通れる程度に道をつくった。

本当はうれしい、日本に来てくれただけでもうれしい。でも野次馬とかプライドとかあって素直になれない吹雪は自分が恨めしく思った。
学校の校舎裏は人一人もいないせいか吹雪のすすり泣く声しか聞こえない。

「……………嫌われちゃった……かな?」

「そんなことないよ!」

一人事のつもりでそう呟けば、思いもしない答えが返ってくる。
その主は先ほど雷門中の前にいたフィディオが肩で息をしてそこにいた。

吹雪にとって薄暗く少し湿っぽい校舎裏の不快感を一気に忘れるほどの衝撃だった。「フィディオ……」

「俺があのくらいで士郎を嫌いになる訳ないだろ!」

「でも酷いこと言った」

「それも士郎の魅力」

さっきの軽い感じとは打って変わり落ち着ついた優しい声でそう言う。

「ごめん、フィディオ……」

吹雪がフィディオに抱き付けば、フィディオは吹雪を受け止め、吹雪を自分の腕の中に閉じ込める。

「そうゆう素直に謝るところ、士郎のいいところだよ」

「うん」

「俺はそうゆうところもわがままなところも好きだよ」

「うん」

「今日士郎ん家泊めてね」

「うん…………………え?」

最後の言葉に違和感を感じ、吹雪が顔をあげればフィディオは微笑んでいた。



「士郎のつくるご飯が食べたいな」



彼は確かにそう言ったが吹雪が本当にフィディオを家に泊めた日の夜、フィディオが吹雪を襲ったことは言うまでもない







スイートデイズ

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フィディオは日本にくるべき
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