「吹雪さんは豪炎寺さんのことどう思いますか?」

「どうって……頼りになるよね、エースストライカーだし」

虎丸は確かに豪炎寺の事を聞いた。だがしかし吹雪の口から返って来た答えと想像していた答えは大きく異なっていた。

休憩の合間を縫い、日陰で珍しく一人休む吹雪が気になった虎丸は吹雪に話し掛けていた、その内容がそれだった。

「そうじゃなくって……なんかこう……異性として!」

小学生六年生の虎丸は難しい言葉を使ってみると「僕と豪炎寺君は同性だよ」という的確で素早い突っ込みが入ってきた。

「もしかして僕のことおんなのこと勘違いしてたの?」

「ま…まさか!そんなことありませんよ」

実は虎丸は一時期吹雪を異性と勘違いして、「おんなのこはFFIに出られないじゃないですか?」と我等が久遠監督に言ったところつっこみを食らった事が脳裏に蘇った。

「それで僕と豪炎寺はどんな関係かって?虎丸君が思ってるような関係じゃないよ?」

「そう……ですか」

虎丸はほっとした。豪炎寺と吹雪いつも一緒に行動している。密かに吹雪に思いを寄せる虎丸は二人の間柄気になって仕方なかった。吹雪はふふっ、と小さく笑っている、虎丸はそんな吹雪を見つめている。

「虎丸君、豪炎寺君のこと好きだもんね?」

「え?」

「そりゃいつも一緒にいるから邪魔者に見えちゃうよね?」

話は思いもよらぬ方向に傾いた。虎丸はいつも以上に目を丸くして陽気に微笑むスノーエンジェルもとい吹雪を凝視した。

「ちっ………違いますよ!」

「照れないで、僕はなんとも思わないから」

「だから………」

吹雪に完全なる誤解をされた時はもう誤解を解く糸口は見えなかった。本当に好きなのは吹雪だと虎丸は下剋上してやりたい、だけど心の何処かで突っ掛かって何も言えない。

「豪炎寺君のこと、なんでも聞いて?僕は虎丸の味方だよ?」


にこやかに笑顔を向けてくれることも心を開いて親しくなれたのも味方、と言ってくれたのもすごく嬉しい。

だがそれはただのチームメイトとしての微笑みであり、恋愛感情としてのはにかんだ微笑みではなかった。







届かなかった恋心

…………………………

下剋上もおいしい…

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