吹雪は焦っていた。

復帰を果たして再び世界のピッチに立つことが出来た…それは喜ばしいことだ、だが吹雪が病院で足の鈍くも激しい痛みに耐えつつリハビリをしている間にイナズマジャパンは吹雪の予想以上に力を付けていた。
吹雪は栗松や緑川達の思いを引き継いで日本代表としてイナズマジャパンにいる、折角思いを引き継いでここに居場所を作った、その居場所を誰にも奪われたくないと考える自身は強欲だ、と笑った。

そんなことを毎日思っていた。

自由な時間が出来れば吹雪は決まって日本エリアの外の空き地で特訓していた。努力している姿を見られたくないというプライドが邪魔していつも自主練習は日本エリアでないひっそりとした空き地で一人で行っていた。

寂しさなんてない、それよりも自分の技を磨くのが重要だった。


吹雪は今日も自主練習に出掛ける。ライオスコット島に来て間もない吹雪でも例の空き地までは迷わず行くことが出来た。

だが今日はいつもの空き地とは異なっていた。
その場に来た時の空気が違う、吹雪は根拠の無いカンを頼りに小さな身体で空き地を見渡した。

すると、

「………あぁ、君だよね?いっつもここで練習してるの」

吹雪とさほど歳の変わらないイタリア代表のジャージを纏った少年が話し掛けてきた。吹雪はこの少年がイタリア代表と知っている。
「………えっと…フィディオ…君だっけ?」

曖昧な記憶を掘り返し、吹雪は恐る恐る口を開いた。
少年はうんうん、と満足そうに頷いた……その時吹雪は自分の曖昧な記憶が正しかったことに安堵した。

「そうだよ、君は吹雪だよね?……マモルから話は聞いてるよ、スッゴい奴だってね!」


「すごくないよ、君の方がよっぽどすごいじゃないか」


フィディオの言葉はお世辞なのか、そうでないのかわからない。だから吹雪は否定した、上の実力を持つものに言われても実感がわかない。

「アメリカ戦、見たよ?すごかったじゃないか、DFもFWもこなすなんてさ!」

「僕だってイギリス戦見たよ、君のチームすごい良いじゃない。」
吹雪の小さな発言にフィディオの胸の奧に鈍い痛みを感じる。普段のフィディオは人の発言一つでこんな感情を感じることはない。

「俺自身はどうだった?」

「…え?」

「…………ううん、なんでもないよ、ほら練習しないの?」


すると吹雪は弾かれたようにフィディオを見て慌ててサッカーボールを地面に置き、練習する。

フィディオはそれを黙って見ながら思い詰めたような顔で吹雪の姿を目で追った。
円堂にチームを褒められた時とは違う……もやもやした感情は胸の奧で騒めいている。


「フィディオ君も練習しない?」
「え?」

「一人じゃ寂しいんだ、たまには誰かと練習したいな。」


そう言われて微笑みかけられればフィディオは耳まで真っ赤になる。

「いいよ、何すればいい?」

フィディオは女の子を数えきれないほど口説いて自分のペースにしてきた。なのに吹雪の前だと自分のペースにするどころか相手のペースに飲まれている、それに吹雪は男だ。


「そうだなー……、パスとかブロックとかやりたいことたくさんあって…」
それからというもの二人は時間を忘れるほどに特訓をした。気が付けば日は沈みかけている。

「今日はこれくらいにしよう」

「うん、今日はありがとうフィディオ君………それじゃ…」

「………まっ、待って吹雪!」

吹雪がフィディオに背を向けて日本エリアの方角に足を進めようとした時、フィディオはとっさに大きな声で吹雪を呼んでいた。

「……何?」

「えっと……あ、今日さ、イタリアエリアに泊まらない?」

フィディオ自身も呆れるくらい言っている事の訳が分からない。日が沈み周りが徐々に暗くなってきた。

「でも……日本エリアに戻らなきゃいくらなんでも皆心配するよ」
「大丈夫!俺から話はつけとくから……ね?」

「……………いいの?」

「いいに決まってるだろ!俺から言ってるんだ、イタリアの皆だって歓迎するさ!」

なんで必死になって吹雪を帰らせないか、自分でも謎で仕方ない。吹雪の頬がほんのりと染まるとフィディオはその倍以上に顔を赤らめた。


「だから……」

「いいのかな?」

「いいよ、吹雪と一緒にいたいんだ、もっと吹雪を知りたい」

フィディオはそういいながら吹雪との距離を縮め、吹雪を自分の方へ抱き寄せる。

「フィディオ君のそうゆう所……嫌いじゃないよ…」


フィディオは知った。この感情の正体を………

「恋だ………」

「え……?」

「そうだ、俺……吹雪のこと好きなんだ!」


空き地とはいえ周りは店だ。どこのエリアか知らないが一目につくのは間違いない。
吹雪がゆっくりと口開く。


「僕だって………フィディオ君のそうゆう所、嫌いじゃないよ…」

その後と言うもの、
イタリアエリアを二人で歩いていると「フィディオが女を連れてる!」とイタリア代表メンバーやエリアの人々に囃し立てられ顔を赤らめていた吹雪にフィディオはイタリアエリアのメインストリートでキスしたのはまた別の話である。











この感情の正体

…………………………

フリリクで承ったフィ吹です。

限りなくフィ→吹に近いような………
フィディオが吹雪にやりたい放題な感じも純愛な感じもおいしいな………

この度はフリリクありがとうごさいました!
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