「鬼道君、僕今度のドラマで主人公やるんだよ、医者の役なんだ!」
社長室に吹雪がそう言って雪崩込んできた。吹雪のマネージャーも鬼道のボディーガードも秘書も吹雪がバタバタ騒ごうとも止めようとしない。二人が昔からの友人だと知っているからだ。
吹雪は正式な鬼道グループの看板タレントだ。芸能界入りしてすぐに顔と昔に身につけた話術が評価されて名前は一気にうなぎ登りした。
「医者……か…。撮影はどこでやるんだ?」
「稲妻総合病院だよ!豪炎寺君がいるかもしれないね!」
「そりゃ、アイツの病院だからいるだろ………」
今日の吹雪の機嫌は良かった。いつもなら同じ番組で出演したタレントの非常識さなどを愚痴ってたりするが、今日はそうでない。
「吹雪」
不意にマネージャーの低い声が社長室に響く。
「ふぇ……?なんだい、染岡君」
「なんだい、染岡君……じゃねぇだろ!これからそのドラマ撮影だろ!!」
染岡は本人たっての希望で自ら吹雪のマネージメントをすると申請した。
だがいかつい顔ときっちり着こなされたスーツを見てマネージャーというよりヤクザやマフィアと間違えられるらしい。
「あ、後ね、この前風丸とスポーツ番組で会ったんだよ!変わってなかったよ!」
「そのオンエアは俺も見た。風丸の奴まだポニーテールだったな」
鬼道も自分の専属タレントの番組は欠かさず見る律儀な社長だ。
「吹雪さん……もう流石に撮影現場に向かわないとマズイんじゃないですか?」
秘書であり鬼道の妹の音無が控えめにそういった。
すると吹雪は「うん、そうだね!行こう染岡君!」と叫びに近い声をあげながら染岡の小言と共に社長室を退室した。
「鬼道、ちなみにお前はこれから吉良財閥との会議だぞ?」
鬼道の傍らにいるボディーガードの佐久間はそう言って、腕時計を眺めた。
「…………吉良財閥か……。今また力つけてきた財閥だろ?社長がやたら辛口らしいがな……」
同じくボディーガードである源田は記憶をたどり、吉良財閥の噂を伝える。色んな会社が吉良財閥に泣かされてきたらしい。
鬼道は愛用のコートを手に取り、ようやく社長席から立ち上がった。
鬼道グループの話
100825
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吹雪はタレントというより俳優な…………
またもgdgdになってしまった