櫂君とレンさんの勝負はいずれも三勝三敗で終わった。彼ら曰く「連続で勝ったから僕の方が上」とか「オーバーキルしたから俺が上」とか子供じみた口喧嘩を繰り広げているのだ。大人気ないと言ってしまったら全くその通りかもしれないけどなんとなく今はそんな光景も微笑ましくなってしまう。

テツさんは例えるなら二人を父親のような温かい目で見守っていた。なんとなくそんなテツさんを見ていると僕まで嬉しさが自然と伝わって来るようだ。きっと嬉しいんだろうな、こうしてまた古き良き友達と復縁したのだ。きっとテツさんのような立場なら僕も嬉しくて仕方ないと思う。



レンさんとPSYクオリアの話をしたけど何も分からなかった。ただ貪欲に『強さ』を求めたからあの力を発揮させたのか、それともまた何か違うものが引き金となっていたのか。僕はその謎だけが解けぬままだった。

結局何一つ分からないままレンさん達と一先ず別れてまた電車に揺られた。そうして櫂君と僕が初めて会ったあの公園のベンチに二人で腰を下ろした。
もう夕暮れ時だからかあんまり人はいないように感じて仕方がない。


「なんか終わっちゃったね」

「何がだ」

「大会とか色々……Q4も一時解散だし、櫂君に会えなくなっちゃうね」

「別に遠くへ行くわけじゃない、会おうと思えばいつでも会えるだろう」


確かに櫂君の言う通りなんだけどチームと言う括りが今まではあって、それで親近感があった。団結力みたいなものがあって、ミサキさんもカムイ君のことも分かった気がした。それに櫂君も。


「櫂君は……またカードキャピタルに来る?」

「行ったら不味いのか?」

「そうじゃなくて、なんとなくチームじゃなくなったら会えなくなっちゃう気がしたから」


すると櫂君は露骨に眉を潜めて僕を見ていた。まるで何を言っているのかと言いたげな顔で僕を見ている。

でも怖かった。
解散したらまたみんな距離が開いてしまうんじゃないかって、そう思ってしまう。無いって分かってはいるけどずっと不安で仕方ないことだった。


「全国制覇が終着点じゃない、お前はそこで終わりなのか?」

「え? 終わりって訳じゃないよ」

「なら構わないだろう」


櫂君はそう言って手慣れたような手つきで僕の頭を撫でてくれた。櫂君とまだいられるってことなのかな、たくさんこれからファイトしていて良いってことなのかな。僕は期待に胸を膨らませながら櫂君の顔を見た。これから先もきっと今の出来事を忘れたりはしない。
そんな気がした。







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一期最終回から二期開始の間のお話でした!
二期開始前に終わらす予定なのにこんなにも掛かってしまった





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