即答かよ ※カムイ視点 お兄さんはまずカードキャピタルに入ると決まって櫂を案じている。いない、と答えればまるでさほど悪いことがあったかのようにしょんぼりしたような顔をする。 まったく、お兄さんも櫂の何処に惹かれたのか分からない。あんな無口でクールぶってて協調性の欠片もない奴、ファイトの腕は認めるけどよ、でもそれ以外では認めたくねぇ。 「お兄さんは櫂のどんなところがいいんですか?」 と聞いてみれば何故かはにかむ笑顔を浮かべて赤くなった頬を押さえる。少し狼狽えるような声を上げた後にやっと口を開いた。 「ファイトが強くて格好良くて、優しいところだよ」 「色々間違ってませんか?」 「そうかな?」 「あれの何処が優しいんですか」 疑問系でお兄さんに問えば、お兄さんはまたも頬を染めている。小学校でもこんなもじもじした内気な奴はいないだろう、きっと普段の俺なら聞いてられないだろうけど、相手がアイチお兄さんだから聞いていられるのだろう。 「櫂君には秘密だよ?」 「……はぁ」 「櫂君ね、この前僕が熱で寝込んだ時泊まり込みで看病してくれたんだよ……それにこの前はテスト勉強に付き合ってくれたの」 うきうきと語るアイチお兄さんが楽しそうで何よりだけど、話されてる内容が櫂となるとな。 それにしても櫂の奴、アイチお兄さんに何でそんなに優しいんだ? そもそも泊まり込みで看病って……エミさん達も公認かよ。 多分、お兄さんのみの優しさなんだろうと瞬時に理解した。三和が休んだって見舞いに行くかも怪しいが泊まり込みなんてことはないだろうし、俺が「勉強教えろ」と言っても櫂は断るだろう。 「……やっぱ櫂はお兄さんの大切な人なんですか?」 「うん」 「そうなんですか、でも櫂の奴無愛想で一緒にいてつまらないんじゃ……」 「そんなことないよ」 真顔でなんの疑いも迷いもなくそう言い切ったお兄さんが怖かったなんて口が裂けても言えない。 普通はうーんとか言って少し悩む物なんじゃないかなと思ったが二人の間にはそれをも感じさせない何かがある。 とりあえず俺はさっきのことをなかったことにして、アイチお兄さんをファイトに誘う。 そしてたまに苦労している三和やミサキさんの気持ちが分かったあまり金輪際この話題には触れないように心に誓う。 |