愛と呼ぶには重い言葉 ※櫂アイ前提でレンアイ 自分は人の物ほど羨ましく、欲してしまう性分なのかもしれないと胸の奥でそう呟いた。 よくよく思えばこうやって今、自分が好きで好きで仕方ない愛しい相手も恋人がいる。この場に恋人がやって来たとすればこのアイチに跨って今にも犯そうとする光景を見た櫂はどんな顔をするだろうか。 「…………悔しそうな顔ですね」 わざとレンはアイチにそう話し掛けた。手は手頃なタオルで縛られて動かない、しかし抵抗しようとしているのかいつもなら温厚なアイチの目はいつになく鋭い。レンはそれを見て興奮してしまう。 自分は自分で思うよりサディズムなのかもしれない。反抗的なその態度を屈伏させたくて仕方ない、快楽に折れてだらしなくする姿が見たくて仕方ない。 「ッ!」 予想外なのかシャツのボタンをぷちぷちと外されてゆく姿にアイチは目を丸くした。何か言いたげな顔をしながらレンを見るもののレンにはそれさえ視野に入らない。 服の中に手を入れればアイチはびくっと異常なまでに反応する。きっとレンの手が予想以上に冷たかったこともあるだろう。 一気に白いシャツを捲りあげればアイチは羞恥に震える姿がある。レンから目を逸らし、やり過ごそうとするそんな姿。 「アイチ君、君はこういうの好きですか」 「なっ、やめ……」 小さく胸を揉めばアイチは声を上げた。やはり性には勝てないのか、と嘲笑したくなる気持ちを抑えてさらに吸い付く。すればアイチは悲鳴に似たような声を上げて拒絶しようとする。だが完全に固定された手首は動かず、ただ腰を動かす。レンにとってそれは誘いをかけているようにも見えただろう。 「そんなに欲しいんですか?」 「違い……ます」 アイチは涙を堪えてそう声に出す。 それに構わず着ているものすべてを剥ぎ取ってやれば、もう半分泣いていた。レンは更に何かに駆られてしまう。 アイチのものは既に先走りをしてふるふると震えていた。小さく、まだ雄々しく感じないそれにそっとレンが触れるとアイチは声を上げた。 敏感なのか少しばかり厭らしく擦ってやればすぐに射精して、ベッドのあちこちに飛び散り、シーツにじわりとシミを作った。 「随分、多いですね」 「………もう、離して…」 「嫌ですよ、それにアイチ君も期待しているのでしょう?」 人の前で射精してしまった羞恥からかもう泣き始めていた。よりにもよって拘束され、強姦まがいなことをされているのにも関わらず感じてしまったことがあまりに悔しいのだろう。 レンはそんなアイチを見て、さらに興奮しアイチの前に自分の雄々しく立ち上がる物を見せると心底怯んだような顔をしてレンの顔を見上げた。 「舐めてください、どうせ櫂にも奉仕して慣れているでしょう」 命令に近いその言葉は何処か重々しい。それと共にアイチを冷たい眼差しで見下せばさらに怖気付いたような顔をする。それは遂に恐怖へと変わったのだ。 抵抗をしていたものの「ほら、早く」と急かすと何か底知れぬ恐怖を感じたのか従順に言うことを聞き、歯を立てないようにゆっくり舌を使う。口からはだらしなく唾液が滴るもののそんなことはあまり気にしていないようだ。 厭らしく音を立てて、懸念に奉仕するアイチに支配を求める。 口の中に含まれた時の快感は予想以上でレンにさえ射精感を覚える。アイチの青々しい髪を乱暴な行為とは裏腹に優しく撫でれば少し驚いた顔で上目遣いをする。 「…………ッ出しますよ」 「んんっ……!」 頭を手で押さえつけ、アイチの口の中に思い切り放った。その勢いと量は凄まじい、アイチは頭を押さえられていた手から解放されると咳き込んでレンの精を吐き出した。 飲め、とまで言わなかったから目を瞑るとしようと残念そうに思う。苦しそうに咳き込むアイチを気にせず後ろを向かせる。 アイチは何をするのかに気付いたのかあまりの恐怖で顔をしかめた。 「だ、だめ! それだけは……」 「別に減るものではないでしょう、櫂ともあるんでしょう?」 「下は……ない、やったことないから! 本当に初めてで!」 咳き込むのも忘れてしまいそうな程に必死で叫びを上げた。ポロポロと大粒の涙が体液と混じりまたシーツにシミを作る。 ただしかしアイチは大した抵抗は出来なかった。みっともなくレンに尻を見せるしかなくさらに羞恥を掻き立てる。 「それは好都合です」 「……え?」 「アイチ君の処女をもらえるんでしょう、本当に好都合ですよ」 懇願するアイチにはレンの気持ちなど分からない。逆にレンはアイチの心情が痛い程にわかる。 ただレンに焦燥感を掻き立たせるのは「櫂」という単語だ。アイチの彼氏である彼があまりに許せない。 「大丈夫、僕も初めてですよ」 「うぁあっ……! レ、ンさ……」 慣れもしない小さな蕾にべっとり体液が付着した自分のものをあてがうと一気に突き進めた。潤滑油代わりの体液のお陰でさほど苦労はせずに挿入が出来た。 しかしアイチは悲鳴に近い声を上げて苦し紛れに呼吸を繰り返した。 「今、もっと気持ちよくしてあげますからね……っ」 腰を力いっぱい掴み、少し腰を引きまた突けば、甲高い悲鳴が代わりに返って来た。 圧迫されたような感覚に陥り、先程までの口淫を越えるほどの快感が生まれる。自分でも笑いが止まらないほどに腰が勝手動いてしまう。 「アイチ君……」 「ぁ……はっ…」 「大好きな櫂が今の君を見たら、なんて思うでしょうかね?」 「んんぁああっ、かいくんっ…」 快楽の中で意識を保とうと必死に愛しい彼の名を呼ぶ。レンにはそれが気に食わない。 耳元で吐息混じりに囁けばさらに締め付けられる。 「もう、いやだぁ……、かいくんったすけ……ぁああん!」 じたばたと動けば逆にいいところを突かれたらしく、恍惚の表情を浮かべて悲鳴とは違う嬌声に似たような甘い声を上げた。 「アイチ君のいいところでしたか?」 「ちが………やぁああっ!」 それは肉がぶつかり合う厭らしい音だ。体液が含まれているせいかさらにそこに水音が混じる。 レンも耐えきれなくなり言葉さえなく、ただアイチに打ち付ける。彼はシーツを破きそうな勢いで掴み、離そうとしない。 「すみません、中っ……にだします……」 「えっ、中はだめっ、……ああぁああっ」 より一層締め付けてレン絶頂まで追い込む。 アイチの言葉と同時にレンは自分の欲を吐き出せば口では嫌と言っていたアイチも恍惚そうな表情を浮かべていた。 痛々しく響いていた悲鳴は溶けるような甘いものに変わっていた。 その後も絶頂を迎えたレンの欲を搾りだすかのように強く締め付けてくる。アイチは放心状態でがたがた足を痙攣させている。 レンはその姿につい征服感が満たされる。今は目の前で恋人との行為ではなく、自分の行為でしかも初めてを奪いいかせたこと。 身体を重ね、ただ虚しく呼吸する声だけが響いた。 アイチをこれっきりで帰そうと思っていた寛大な自分は消え失せていたらしい。さらに調教を繰り返し、自分なしでは生きられない身体にしてやろうと、そう考えながら隣で体液に塗れて気絶するアイチに優しくキスをした。 |