どこまでが冗談…?









アイチはこの無愛想な男にこよなく愛されている。

それは問い詰めるまでもなく、すべて態度で悟ることができる程度である。口を開けばアイチアイチといつものクールフェイスを装いながらとにかく惚気る。
もうそろそろワンパターンな会話に慣れなくてもいいものに慣れて来たらしく三和は次に櫂が何と言って来るかもなんとなくわかるようになった。

こいつを止められる奴はいるのか、いやおそらくいないだろう。それと同時にアイチを狙うような命を粗末にする輩もいないだろう。

もしいるのならば悪いことは言わない、全力で助けてやるつもりである。櫂やアイチをではない、アイチを狙うような輩の話である。

だがここまで言っておいて今更だが二人は付き合ってはいない、多分。





「今週の土曜にアイチの家に行こうと思っている」

「お、よかったじゃん」


三和はやはり二人の友人である。
いくらかの妬みはあるものの心では純粋に二人が上手くよう応援は多少している。
櫂は多少機嫌が良いらしく、不敵に微笑んでいた。カードキャピタルに来たアイチはこんな櫂を見てどう思うだろうか、どうせ格好良いとしか思わないだろう。


「アイチの家族にも挨拶するのに何か手土産は必要か?」

「……は? 手土産?」

「ああ」


櫂はこんなに律儀な性格か、と考えたが一時期三和の家に来た時は手ぶらで来た奴である。

いらないだろう、まず家族に挨拶もいらないだろう。


「いらないんじゃねぇの?」

「アイチの家族への印象が悪くなるだろ」


ああ、そうゆうなら俺たちの中でお前の印象、かなり悪いぜ。とか三和は言ってやりたかったが敢えて心のうちに閉まっておくことにした。


「まさかとは思うけどさ、アイチの家に行ってご家族とお話をつけるつもりで?」

「ああ」


その答えは間髪を容れずに返ってきた。即答である、迷いがないその意志にある意味拍手したい。



三和は優しい奴だ。
手土産を選ぶ際にアイチに何が食べたいかをさりげなく聞いて櫂に買わせるパイプ役を務めたのだ。

次の週、二人はやたら仲が良かった。
結果は良かったのかもしれない。
しかしこの二人ならばそこらの障害は吹き飛ばすだろう。とりあえず幸せそうな櫂とアイチを遠目から三和は眺めるのであった。






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アイチの家族に気に入られたに違いない


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