最愛なる厄日




櫂アイ前提の三和アイ





「おい、泣くなって…」


そっとそう言った所で自分の横で静かに嗚咽を殺して泣くアイチが泣き止むことはない。

三和が泣きじゃくるアイチの頭を撫でる。公園の端から見てみれば三和が泣かした訳ではない。

どうもこうもアイチをこうした原因はアイチの彼氏の櫂にある。

だが櫂が全面的に悪者な訳ではない、愛するが故の結果がアイチに涙を流させてしまったのだ。
アイチが自分より三和やカムイと仲よさげにしていたのが気に食わなかったのだろう、櫂も気付いた時には酷い言葉を放っていた。

三和は見逃さなかった、友人が悔しげ歪む顔を。
だが変に鈍感なアイチは言葉をそのまま受け取り、ショックで店を出て行ったのだ。





「ほら、アイチ! 気分転換にアイス食いに行こうぜ、今ならおごるから、な!」

「………いらない…です…」


三和がわざと明るい声で話し掛けるものの今のアイチには効果はない。
自分の浅はかな考えを反省しながら小さな溜め息をついた。


「櫂君、何で怒っちゃったんだろう……」

「あー、あいつも気紛れな奴だからいちいち気にする事じゃないって」

「でも僕が悪いことしたから櫂君は怒ったのかな…」


自己暗示と自己嫌悪がアイチにのしかかって来たらしい。
三和はアイチの鈍感さを不憫に思うしかない、せめてカムイや森川のように少しでも前向きな性格ならば結末は変わっていただろう。


「…………みわ…くん…?」


伸ばした手はアイチの肩をしっかり捕まえていた。引き寄せてアイチを自分の胸板に押し付けた。

困惑に満ちた表情で三和を見つめる瞳を真っ直ぐ見据えた。


「アイチ」

「え、なに…?」


アイチは更に目を見開いて三和の返答を待つが三和はアイチの首元に顔を埋めるだけしかしない。
アイチの目元からはすっかり涙は消え失せていた。

どうして櫂なのか、どうして自分じゃないのか……
櫂じゃなきゃ勤まらないのか、自分ではアイチの隣で笑っていてくれないのか……

欲に塗れた嫉妬がある。
いま困惑する、不審な目で自分を見るアイチの顔を見るのが辛くなる。
だが今は抱き締めることしか叶わない。


それ以上のことは三和には叶わなかった。


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三和アイってどうしても悲恋チックになってしまう…

明るい三和アイが書きたい


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