嘘から出た本命




三和アイ



「アイチー、たまには二人で帰らないか?」


カードキャピタル内にそんな飄々とした声が響き渡った。
やっと森川とのファイトを終えたアイチが振り向くと機嫌が良さそうに手を振る三和がいた。

櫂は今日、カードキャピタルには来ていなかった。そんなこともあり一緒に帰ることになったのだ。


「あんまりしゃべんないのな」

「え?」

「もっとアイチってしゃべる奴なのかなって思った」

「ごめん…なさい……」


おいおい、謝るなよ、とたしなめられたものの何となく空気は悪くなってしまった気がしてならない。

アイチも話題探りに必死で頭の中がごちゃごちゃしてきたのは言うまでも無く、しばらく沈黙が走っていた。

しかしするり、とアイチの頬を撫でるように三和の手が重なった時、つい足が止まって三和の顔を凝視した。


「ほっぺたぷにぷにしてんなー」

「ちょっ、三和君!」

「なぁ」

「なに?」

「キスしていいか?」


三和の一言は時間を止める程度の衝撃があった。我に帰った時、アイチは顔をリンゴの様に赤くするのだった。


「みみみみ…三和君…! 何言って…」

「だってアイチが可愛いから」

「だからって、直球すぎるでしょ」


アイチが真っ赤にしながら動揺を隠せない様子でいうと、三和はいきなり笑いだすのであった。

そんな三和についアイチはぽかんとしながら見つめるのであった。


「冗談だよ、冗談!」

「へ?」

「ついアイチが可愛い反応するから楽しんだだけだよ、ここで別れんのか」


そこはちょうど二人の別れ道で三和は笑いながら軽く手を振って走り去って行った。

未だ顔を真っ赤にしてどうしたらいいか分からないアイチは三和の背中を見守っていた。




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三和アイも好きだ
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