寒空と君 まだ春には遠いように感じる寒波が押し寄せる気温は流石にアイチでさえも堪えた。 妹のエミはアイチのために用意した手袋とマフラーも忘れて来てしまって手元にはない。 カードキャピタルから外れた公園には子供一人見当たらず、都会の公園にも関わらず哀愁に満ちていた。 森川達にじゃんけんで負けて買い出しを頼まれていたはずだったがぼーっと足を進めていれば公園のベンチに腰を下ろしていた。 たまにポケットに入れておいた自分のデッキを眺めた、特に意味はないが何となくそうしたかった。 「こんなところで何している」 「……櫂君…」 鼻まで赤くなった顔を見られるのはなんとなく恥ずかしかった。 櫂は表情一つ変えずにそう質問するもアイチの手元にあるファーストフード店の紙袋で何となく察したようだった。 「えっと、櫂君はどうしてここに?」 「なんとなくだ」 「そっか、これからカードキャピタル行くの?」 「そのつもりだ」 すると櫂は背中を見せて行くぞ、とだけ言って一人歩きだした。アイチも遅れまいと大急ぎで櫂を追い掛けた。 「あんたも優しいところあるんだね」 カードキャピタルに着き、中に入るなり店番をしていたミサキが関心そうに呟いた。 アイチはそっと櫂の方を見ると「外に出たかったから出ただけだ」と言って奥の方へ消えて言った。 「アイツ、あんたのこと迎えに行ったんだよ、後店の中飲食禁止だから外で食べて」 「あ…はい」 ミサキがアイチを一瞥し、また手元の本に目を移した。 それを聞いたアイチは櫂の姿を見つめていた。 |