敢えて誇張して今の事柄を説明するならば『世界戦争』と名付けられる気がした。めでたく来年を迎えられない空気が立ち込める大晦日の昼。

まさに吹雪の目の前で血さえ流れてはいないがそのグラウンドを一言で言えば『戦地』とも言える。彼らはまだ歳も満たない中学生以下の集まりであるが、目には確かな闘志が燃えている。


「吹雪さんもモテモテですね」


悪気は無いだろう、吹雪を見てバスタオルを持ち立っている冬花はほんわかと笑顔を向けていた。

彼らの目的は吹雪と初詣と言う名のデートに行くのが目的である。グラウンドに引かれた白いラインはサッカーの為のコートを完全に無視している。


彼らはドッヂボールをしているのだ。


問答無用、敵味方関係無しの潰し合いは恐らく文字だけならばバトルロワイヤルに勝る勢いだ。
明らかにゴールキーパーの円堂が有利な気がするが豪炎寺やフィディオは必殺技を使い豪速急な球を相手チームに殴り込むが、逆にテレスも必殺技を使い止めたり、風丸は俊足で紙一重で避ける。


「みんなすごいわよね……、なんかこう…覇気っていうか…」

「うん、なんか言いたいこと分かるかも」


秋は少し引きつった笑顔で吹雪を見た。吹雪も引きつった笑顔で頷き返した。
この後は勝者チームをさらに二つに分けて、最終的に残った一人が勝者となる……サイクルらしい。


「マーク、今日ばかりはミーは譲れないよ」

「同意見だな、ディラン」


普段仲が良いはいがみ合う。
幸か不幸か彼は違うチームになってしまったが故に睨み合う、愛のためならばたまには友達さえ踏み台にする覚悟らしい。

ある一角では不動と鬼道は手を組んでいたりと見ている分には楽しいところもある。


「悪いね、マモル! 君にはここで退場してもらうことにするよ!!」

「来い、フィディオ!」











「吹雪君寝ちゃったじゃない」


夏未は寝てしまった吹雪の前髪をさらりと撫でながら、なお一回戦を戦い続ける彼らを見た。

昼だったものの日は沈みきり時計はもう八時を差している。監督も配慮したのかバックライトをフル作動して戦地だけ昼のような明るさを保っている。


「もう私たちだけで行かない?」

「それもそうね……、あ…確か着物が宿舎にあったわよね、それ着ていきましょうよ」

「吹雪さんの用意してもらってみんなで着物着て行くなんてどうですか?」

「それじゃあ早速頼んで来ちゃいますね!」



結局男達の醜い戦争は決まらないまま幕を閉じ、気付いた時には景品とも言える吹雪はマネージャー達と女形の着物を着て初詣に行っているのだった。









戦火に舞う大晦日の悲劇




特に指定が無かったのでマネージャーオチで、おいしいと思います!

吹雪さんはみんなから愛されすぎてもうライオスコット島が戦場になりかけてもいいです、必死になりすぎてセインとデスタが出てきてもいいと思います。

それではリクエストありがとうございました^^
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