テレスが吹雪士郎と言う存在を知ったのはアメリカ戦の時の試合である。
アルゼンチンの宿舎は日本対アメリカ戦を見ていた、日本との試合はすでに結果が出ているのだが今度戦うアメリカのことを知っておく為にテレビの前にいた、だがアメリカ選手よりもこの間戦った日本代表のメンバーの中に明らかに見慣れない人物がいて、つい釘付けになった。

DFラインに立っているもあまりに頼りなさそうな小さな身体だが時にはあの一之瀬からボール奪い、こともあろうことか自分自身が相手のゴールにシュートして、しかもそのシュートはGKをも止められない強烈な物を打ち込んでいた。

アメリカチームを偵察するつもりなのにも関わらず目で追っているのは吹雪、ボールを蹴って走る姿に釘付けになっている。


思えば吹雪に好意という意識をしたのはこの出来事からだ。





恋愛には関してはエドガーやフィディオほど達者ではない、テレス的にはあれらは異常と考えるもっぱら硬派な健全男子だ。

天使とか悪魔のいざこざ以来吹雪とも打ち解け、今やメールをやりとりするような仲にまで進展した。
だが吹雪と一回も買い物と言う名のデートに行ったことがない、吹雪が拒む訳ではない、それ以前の問題なのだ。


「だめだ」


ぴしゃりと言われた。
目の前に立つ円堂はものすごく良い笑顔だ、眩しい。しかし向けられる笑顔は決して友好に結びつく物ではない、一種の威嚇である。
円堂はこうゆう奴らしい、よく笑顔での圧力をかけてくる、正にこれのことであろう。
テレスは念のためにもう一度同じことを言ってみるも返して来る答えは一緒でただ円堂の眉間に皺が寄っただけであった。

これが初めてではない。
前来た時には豪炎寺が出て「すまん、吹雪は俺専用の抱き枕だから」とか意味の分からないことをつぶやく奴もいれば不動が出て吹雪の話題を出した途端に感情的になる例もある、テレスにとって今日は軽い方だ。

元々テレスはジャパンメンバーをバカにしすぎたのかもしれない、その付けが回って来たのだろうと思うしかない。
それにしても吹雪のみにガードが堅い。サッカーのプレーよりも突破出来ない壁である。


「あ、テレス君!」

宿舎の奥の方から嬉しそうにテレスの名前を呼ぶ、話の中心人物が小走りしてやってきた。


「吹雪!」

「テレス君がどうしてここに?」

吹雪は子首を傾げながら円堂に尋ねた、円堂は狼狽えてただ笑うのであった。

「フブキ、俺と付き合ってくれないか!」

狼狽える円堂を尻目に吹雪にそう叫んだ。吹雪は驚いた顔でキョトンとしていた。
だがすぐに吹雪はふんわりとした笑顔でテレスを見て、テレスの腕にくっついて「いいよ」と言った。

円堂はすぐに止めに入るが吹雪は一度言いだしたら聞かないテレスにとって好都合な性格が利いて二人は外に出た。

「テレス君が僕と出掛けたいなんて意外だね」

「そうか?」

「なんとなくね、君のことを知らないからかもしれないな」


吹雪はそう言いながら小さく笑う、確かに吹雪はテレス・トルーエと言う人物を良く知ってはいないだろう。
そしてテレスも吹雪を知らない。
だがテレスは吹雪のそんな所に惹かれたんだと思いながら、ただ相槌を打って付け足すように、「なら俺のこともっと知って欲しいな」とぼやくように呟いた。

吹雪はまた微笑んだ、頬をピンクに染めて笑う。



「じゃあ、テレス君も僕のことを知ってほしいなぁ」



たまには吹雪を知るために柄にもなくライオスコット島の有名なスイーツ店に入るのも悪くない、とテレスは吹雪に手を引かれながら思う。








好奇心は恋をする

…………………………………

テレ吹ということで……如何だったでしょうか?
我ながらテレスのキャラをちゃんと掴めていない気がします、とりあえずテレスなら意外と行動に移すんじゃないかなー……と思いながら書きました。

素敵なコメントありがとうございました、豪炎寺は変態とイメージが私の頭に植え付いているせいでいつも残念な仕上がりになります。
これからも更新の方も頑張ります、それではリクエストありがとうございました!
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