「病院ってあんなに監視カメラあるなんて思わなかったよ」
日本から復帰して来た吹雪は笑いながらそんなことを口にしていた。
勿論その話し相手をしていた円堂と鬼道は思わず凍り付いた。えへへ、とはにかんむ笑顔を見せる吹雪は癒し以外の何物でもないが話しの内容はあまり似合わない。
「…………何個付いてたんだ?」
「んー………天井の角四つに後はベッドの近くとか棚の脇とかカーテンレールの上とかまだあったよ……びっくりしちゃった!」
鬼道の腹に探りを入れるような質問にもにこやかに答えた。あまりに純粋な吹雪は悪意を知らなかったのだろう。
「病人に優しいよね、でもあんなにカメラついてたらナースコール要らない気がするなー…」
話を聞く二人は返す言葉が見付からなかった、ただ呆然と吹雪の話を聞いた。
「(………おい円堂、さっき豪炎寺が見ていた動画って…)」
「(間違いないな、吹雪の入院中の奴だろうな、すっげー不謹慎だな)」
確かにこの話を聞く前に二人は豪炎寺に会っていた。携帯画面を穴が空くほどいつも通りの渋い顔で見つめていた、指が動いていなかったため動画を見ていることは何となく分かったが、まさかこんなことをしているとは思わなかっただろう。
「どーしたの?」
「い…いや、なんでもない…だが吹雪…」
「?」
「寝る時は部屋の鍵をしっかりかけた方がいい」
「……?分かったよ…」
その日の夜、吹雪の部屋の前で右往左往していた豪炎寺は円堂の正義の鉄拳がとんだらしい……
盗撮と病院
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豪炎寺パパンが黒幕に過ぎない