「豪炎寺君って変態だよね」
食堂の一席でそんな会話が展開されていた。
吹雪は眩しい太陽の如く魅力的な笑顔で豪炎寺に言えば勿論豪炎寺は不服そうな顔をする。
小耳に挟んだのかヒロトと風丸が小さく頷いた、吹雪は二人を見回して「やっぱり?」と微笑む。
「参考に聞くが俺が何故変態だと言い切れる」
吹雪はマネージャーの贔屓目かデミグラスソースが他のメンバーよりたっぷりかかったハンバーグを小動物のように食べる。
「えー、だってすぐに下品なこと言うし……」
吹雪が控え目にそう言うとヒロトと風丸はうんうんと言いながら頷いた。
「いつ下品なことを言った!」
「いつもじゃないか!」
「あれは通常会話の一部だ!」
「わかってて通常会話の一部にねじ込んでる君が変態だっていいたいんだ!」
「最もだよ、吹雪君」とやはり頷くヒロトは紛れもなく吹雪の味方だった。そもそも風丸もヒロトも吹雪寄りだ、豪炎寺の勝算は0である。
「仕方ないだろ、それに変態じゃない、せめて愛の吟遊詩人と読んでくれ!」
「仕方なくないよ、しかもね君みたいな人をこの世界では変態っていうんだ」
豪炎寺は頭のネジがとれたんだ、と鬼道は吹雪に話かけた。
吹雪はただ頷く、そして豪炎寺を救えないことを静かに悟る。
虎丸が豪炎寺側に付き、「豪炎寺さんが愛の吟遊詩人なら俺は愛の狩人です!」などと騒いでいた。
選手達のコンディションが気になり何も知らずにその場に現れた久遠監督はただ「今の子供はわからん」とため息をついた。
いいえ愛の吟遊詩人です
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ただ豪炎寺に愛の吟遊詩人と言わせたかっただけ