雷門中の昼休みと言えば正に自由その物であった。その中でも屋上はサッカー部が占領し、溜り場となっている。
「元気無いな、吹雪」
「豪炎寺君……」
屋上の隅のベンチで一人ため息を吐きつつ自作の弁当を食べていると横から購買で買ったと思われるパンとコーヒー牛乳のパックを持った豪炎寺が隣に座った。
「悩みでもあるのか?」
「あ………えっと…何もない」
吹雪は言葉に詰まりながらぎこちなくそう思うと豪炎寺に額を軽く叩かれた。
「嘘つくな、お前のことなら分かるぞ、俺は」
豪炎寺が吹雪を自分の方へ抱き寄せれば他のサッカー部はおおっ、と歓喜を上げる。
吹雪が豪炎寺を見上げれば豪炎寺は静かに微笑み、吹雪は口を開こうとした瞬間だった。
いきなり放送のチャイムが校内中を駆け巡った。
『吹雪士郎、俺はお前を愛してる!早く豪炎寺なんかと別れて俺にしとくんだな!俺は豪炎寺よりお前を満足させれるぜ!』
そして嵐は去るように校内放送用のチャイムは鳴り響いた。それと同時に周りは一気に騒々しくなった。サッカー部は何かと有名であった。ましてや吹雪は男女から好かれることもあり、校内では有名であった。そんな吹雪は豪炎寺の胸に赤くなった顔を押しつけて離そうとはしない。
「今のは南雲か?」
「うん、豪炎寺君と付き合ってるってバレたら………ね?」
豪炎寺はそうか、と優しく吹雪を受け入れるように抱き締めていれば、屋上の入り口であるドアは乱暴に開いた。そこから飛び出してきたのは放送した張本人、南雲であった。
「士郎、俺の放送聞いたか!」
吹雪がびくっ、と小動物の様に体を跳ねさせれば豪炎寺はより吹雪を愛らしく、守りたくなると悟った。
「悪いが、士郎と読んでいいのは俺だけだ」
豪炎寺と吹雪が南雲の前に出てくれば南雲はただ余裕そうに笑みを浮かべた。
吹雪は豪炎寺にしがみつき離れようとしない。
「南雲君、もう僕は豪炎寺君と付き合ってるんだ」
「士郎……そんな男と付き合うのやめちまえよ!」
「嫌だよ、豪炎寺君は僕の大切な人………だもん…」
豪炎寺の腕に抱きついた吹雪はそういうも南雲は悔しそうには一切しない、むしろエイリア時代のような余裕そうな顔で二人の前に立つ。
「豪炎寺、すぐにお前から士郎を奪ってやるよ!」
「俺は士郎を手放したりは絶対にしない!」
二人はただ威嚇するように睨み合う。そんな三人を円堂を含むサッカー部員は見る。
もはや三人の恋路は雷門中に知れ渡る恋愛ドラマであった。
昼ドラ的恋愛事情
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たまにはまともな豪吹を書こうと思いきや南雲が介入してきた