豪炎寺とか染岡とかどちらかと言えば肉体派の男に吹雪は好かれる傾向にあった。
別に吹雪が筋肉フェチとか褐色肌フェチな訳ではないが吹雪は自分とは正反対ながっちりとした肉体派と行動することも多い。
「豪炎寺君も意外に筋肉あるよね、腕相撲勝ったことないし」
基山は風丸にそんな能天気な話題を出して笑えば、風丸はそれはもう黒歴史の再来という勢いの鋭い眼光で睨み付ければ、基山の顔は一気に苦笑いへと変化した。
「っていうか吹雪君がまだ筋肉質な人が好きなんて一言もいってないだろ?」
「でも一緒に居るってことは気がある証拠だろ……?」
「君さ、被害妄想強いって言われない?」
「生憎ないな、そんなこと…」
風丸はとてつもなくいい笑顔で基山にそう言い放てば基山はため息をつく。
練習の昼休みは基本に自由で珍しいことに風丸は基山と話していた。話の張本人でもある吹雪は染岡や豪炎寺に囲まれて楽しそうに談笑していた。
「ああああああああ!」
「何だい、急に……!いきなり奇声あげないでよ」
「やっぱり吹雪は豪炎寺やら染岡やらが好みなのか?」
「俺は吹雪君じゃないからわからないよ」
基山は少しだけため息をついて風丸を見れば意外にも落ち込んだように顔を俯かせた。
少しだけ不憫さに同情した基山はとりあえず、大丈夫だよ、と根拠のない励ましをかけてみた。
「吹雪は何が好きだと思う?」
「この前出掛けた時は一緒に甘い物食べたよ」
「…………貴様…吹雪とデートを………」
「本当に君の頭って都合良く作られてるね、本当に妄想癖つよくない?」
基山はふと視線に気付くと吹雪が手を振っていた。そして吹雪が基山を手招きすれば笑顔で吹雪のいるほうへと駆けて行こうとする。
「ヒロトの裏切り者!」
という声が聞こえたが聞こえないふりをして吹雪の方へと駆けて抱きついた。
君だけじゃあない
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風丸とヒロトで吹雪を取り合ってもかわいいな…