※『モーニング・サプライズ』の続き
今日の朝は本当に焦った、あそこで風丸君が介入しなきゃされるがままだったかも…と思いながら夕食を平らげた後にして部屋に戻った。
自分の部屋ということを十分に確認して扉を開けた。
「…………」
吹雪は目を疑った。
「あ、士郎!」
何故かフィディオがくつろいでいるいる。
吹雪は目を疑ったままきっと部屋を間違えたのだろうと静かに扉を閉めると、おい、どこ行くんだー?、フィディオに呼び止められた。
「ちょっと人の部屋で何してるの、っていうか何でフィディオが………?」
「士郎に会いたくて来た!」
「来たって………っていうかどうやって入ったの」
「意外と日本の木造住宅は登りやすかったよ、日本はもうちょいセキュリティ対策すべてかな?」
「イタリアの玄関は窓なの……?」
フィディオはただ笑っていた。吹雪は心底フィディオの白い流星と言う通り名が白い泥棒にでもなればいいと思った。
「とにかく何しに来たのさ」
「士郎と夜を共にしようかなって」
「今すぐ帰って」
一度は会いに来てくれた、とか言ってくれて吹雪は少しだけ心を打たれたがフィディオのささやかな笑顔で言われるその言葉に萎えた。
部屋には二人だけであった木暮はいつも通り壁山の所に菓子を摘みに行ったのだと検討はついた。
「今何想像したの?」
フィディオは一気に優しい笑みではなく意地の悪い笑みに代わり、吹雪を見た。
「何も想像してないよ」
「想像してないなら泊まってってもいい?………ベッドは士郎と共同がいいなぁ」
「そんなことなら僕は床で寝る」
「豪炎寺と寝たんだろ?」
はぁ?とどうしようもなく情けない声がした。
しかし否定は出来ない、吹雪自身は何があったかは知らないが豪炎寺と寝たのは確かだ。
フィディオは吹雪の口籠もるようすさえ見逃さずに寝たんだね、と問い掛けて来る。
「……どこの誰が言ってたの?」
「豪炎寺が自らね」
まさか昨日の誘導がこんなことになるとは、と思うしかない。別に吹雪とフィディオはただの知り合い、友人であり恋人同士ではない。
「俺も士郎と寝たいな」「別に寝たからどうってこと…ないでしょ?」
「士郎は鈍いよ、気が付く頃には食べられるよ」
フィディオは吹雪を壁に押しつけて逃げ場を塞いだ。吹雪は少しだけ顔を染めてフィディオを見た。
「なおさらじゃないか」
「いいの、俺は」
イタリア人の口説きは勝手すぎる、と吹雪はフィディオから目線をそらせばフィディオは吹雪のジャージの襟を少しだけずらした。
「見えないと思うけど、ここにキスマークあるよ」
「ふぇ…………!?」
とっさに吹雪はフィディオに指でなぞられた部分を隠すように手で伏せた。
フィディオはずるい、俺もつけたい、と吹雪の耳元で囁けば案の定耳まで赤くする。
「いいよね?折角来たんだよ、イタリアエリアからさ!収穫がないとやだな」
「ちょ…………」
「させないぞ、フィディオ」
音もなく現れたのは我らが司令塔、鬼道である。さぞ迷惑そうに眉を眉間に寄せつつ腕組みをし、そこにいる。
「鬼道………出ていってもらえないかな?今すんごく良いところなのに」
「いいも悪いも俺の知ったことではない」
その後というもの鬼道とフィディオによる口論は続く。
吹雪はフィディオのまた違う一面を見たことを思い出す度に赤くなるのであった。
イブニング・サプライズ
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豪吹があるからフィディオも介入してみようか、と考えた結果がこれだよ!