櫂アイ
そういえば、とアイチは気付いたことがある。余りに当たり前になってしまったが今思えば凄いことかもしれない。
アイチがエミに起こされやむを得ず起床する。「やっぱアイチは私がいないと何も出来ないんだから」と嬉しそうに世話を焼くエミに連れられる形でダイニングへ向かう。
そこには母親が「おはよう、アイチ」と笑顔を浮かべながら朝食を用意する。アイチが席に付くと母はご機嫌な様子でアイチの前にトーストを置く。
「この頃早起きね、彼のおかげかしら?」
「アイチは櫂さんと結婚しちゃったらいいのよ」
「あら、それはいいかもしれないわね……櫂さんみたいなしっかりした人の方がアイチには良いと思うわ」
「僕と櫂くんはそんなんじゃ…」
エミと母親であるシズカがアイチと櫂について話しだす。アイチは何も言い返せないあまりただトーストを噛り付きながら顔を赤くした。
すると玄関からインターホンが鳴り響く。シズカはそれを聞いて「あら、噂すれば…」とアイチの顔を見る。アイチもどたばたしながら自分の部屋に学生カバンを取りにいく。
「櫂君はなんでいつも迎えに来てくれるの?」
「嫌なのか?」
「そういう訳じゃないけど、なんでかなって……」
「俺が好きでやってることだ」
彼はふいとそっぽを向くが、やはり優しかった。森川や三和は早歩き気味でアイチが一歩遅れる形でいることが多いが櫂はアイチにあわせて歩く。
アイチはそんなぶっきらぼうな櫂に「ありがとう」そう言って彼の手をギュッと握った。
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