炭治郎と善逸と手が離れない血鬼術


わたしと炭治郎と善逸くんで指令を出され、早速鬼退治に来たわけですが…
突然ながら鬼の血鬼術をかけられたわたし達。

なんかすっごい変な匂いのする血鬼術は霧のようなもので一体何なのか分からず、鼻が利く炭治郎なんて閉じた目に涙があふれていた。
その瞬間に鬼が拳を振り上げてくるのに、わたし達はすぐに身動きが取れず、なんとか避けたはいいけども、勢い余って善逸くんが尻餅をついた。

「善逸くん!」
「大丈夫か!?」

炭治郎が驚いて善逸くんに駆け寄って手を差し出す。
彼は泣きべそをかきながらそれを素直に取っては尻についた土ぼこりを払った。

「ああーっ! もうやだ! あの鬼! くっさいし、おかしな霧出てるし!? ついでになんか気持ち悪い笑い方してるし!?」
「気持ち悪い笑い方なら善逸もよくしてるだろう」
「傷つくようなこと言わないでくれる!?」

善逸くんの愚痴モードを炭治郎が呆れた様に口にした。
まったく、とわたしが呆れていると二人の様子が何かおかしい。
握った手をずっと離さないのだ。

「……? どうしたの? 二人とも」
「あ、いや……」
「炭治郎、手、離せよ」
「善逸こそ」

困惑する炭治郎に善逸くんも同様に問いかけるが、彼はそれをそのまま返した。
そのまま暫し沈黙が流れる。

「えっと、一体何が……うわっ!」

二人に近付き状況を確認しようとした矢先に、足下にあった水たまりに足を取られた。
短い悲鳴をあげるわたしの手を炭治郎が掴んでくれたおかげで、なんとか転ばずに済んだ。

「鈴! 大丈夫か?」
「う、うん、ありがと」
「ああっ! ずるい! 俺の役目なのにっ!」
「善逸くんは黙って………、ん?」

嘆く善逸くんを放置して、わたしは炭治郎の手を離そうとした。
けども、なぜか離れない。
炭治郎も決して力を入れてるわけじゃないのは、手に伝わってくる握力で分かってる。
けど……、握りあっている手の指一つ動かないのは一体何?

「はははははっ! 鬼狩り共! 俺の血鬼術を見たか! 一度触れた人間とは一生離れられないのだ。つまり、刀を握ることが出来ず、お前らは俺に喰われるだけってことだ!」

どこからともなく聞こえてくる鬼の説明口調に、わたしは感謝すると共に、それって鬼殺隊が一人で来たら意味なくない?とツッコミたくなった。

同じ事を炭治郎と善逸くんも思っており、あることに気付いたのだろう。

つまりは、この鬼を倒さないとわたし達はずっとこのままだってことに。



続く

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