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名前ちゃんに恋をしてから3ヶ月が経過した。
残暑で体が参ってるけど、名前ちゃんに会いに行くことを考えればなんともない。
こんな感じで名前ちゃんのことを考えてたけど、仕事はきっちりこなしてるんだぜ!(疲弊してる時ほど癒される。)

公演だって毎回ではないがなるべく行くようにしてる。(無料公演のときもあるから財布に優しい。)
ファンになってから結構序盤に、深夜にテレビで番組をやってることを知った。
名前ちゃんが毎回出てるから嬉しいし、素の名前ちゃんが見れるから毎回録画してる。
それで知ったことだが、名前ちゃんはどうやら勉強が苦手らしい。クイズの企画をしてたことがあったが毎回最下位を競うくらいだ。(万里の長城をロッキー山脈と回答してた。)(俺が勉強教えるのにな。)
年齢は21歳で、好きなことはご飯を食べることらしい。
何より礼儀正しい。きっと良い環境で育ったんだろうな。

ただ不思議なことにMVを見ても、名前ちゃんがセンターの曲はない。他のメンバーはなってるのに。
もやもやした。

3ヶ月間通い続けてたからか、名前ちゃんも俺に心を開いてきてくれた気がしないでもない。
そのことを川上に言ったら、「それは地下アイドルの特権すよ」と言われた。川上の好きなアイドルは人気すぎるから交流する機会が無いのだ。可哀想に。

明日の公演をオフィスのソファーに座りながら楽しみにしていると、伊沢が驚くくらいびっちゃびちゃに濡れて登場した。


「え、なんでそんなに濡れてんの?」


そう言いながらタオルを用意してやる。


「雨です。凄い雨。風はないんで台風じゃないと思うんですけどね」


ありがとうございます、とタオルを受け取り頭をガシガシと拭く。
窓に目をやると土砂降りの雨が降っていた。
今日の天気は夕方から雨だったか。止みそうにないので事務所に置いてる傘で帰ろうとした時だった。


「須貝さん!ネットニュース見ました!?」


声を荒らげるこうちゃん。


「どうしたのこうちゃん。俺は帰って名前ちゃんを、」


「AILEの名前ちゃんて子!須貝さんが推してる子!」


名前ちゃんがネットニュースに?
嫌な予感がした。冷や汗が止まらない。


「今日AILE脱退したって!」


雷が、近くで落ちた。






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