嫌よ嫌よも好きのうち


僕には嫌いな子がいる。

嫌いな要素は本当にいっぱいある。
同い年のとことか、僕より小さい身長とか、さらさらの髪とか、とろいのに良い記事書いたり、良い企画を考えたりするとことか、丸い文字を書くとことか。たっくさん。

でも特に嫌いなのは、ヘラヘラ笑うとこ。


「こうちゃん、この企画どうかな」


ほら、こういうとこ。
こうちゃんの隣に僕がいるのに話しかけない。

だから、ついつい意地悪しちゃうんだ。

こうちゃんに渡そうとした企画書を奪い、内容を読むと恋愛物のクイズだった。
この子の考えるクイズは恋愛物ばかり。
読んでる小説や映画も恋愛物ばっかりだっけ。


「山本さん、どうですか?」


こうちゃんが尋ねる。


「女性の視聴者さんが増えそうだよね〜。……うん、僕これに参加したい」

「……!山本君、ありがとう!」


ほら、そうやって簡単に笑顔を見せてしまう。
ちょっと無防備すぎなんじゃないの?


「名前さんの企画なら俺も出たい」

「うん!こうちゃんにぜひ出て欲しいな」


そうやって僕を置いてけぼりにするところも嫌い。こうちゃんのこと好きなの?なんなの。
「伊沢さんに企画書見せに行ってくる!」と言って立ち去る彼女。


「ねえ、こうちゃん」

「なんですか?」

「あの子のこと下の名前で呼ばないで」

「えっ」


こうちゃんが驚いたような表情をする。
あんな子と親しくする必要なんてないよ。


「(やっぱり山本さんって、名前さんのことめっちゃ好きじゃん…!)」


その後、動画の撮影をみっちり行ったから、少し疲れたなーなんて考えてたら、彼女が「お疲れ様です」なんて差し入れに飲み物を配ってくれた。


「名前ちゃんありがとう、喉カラッカラだった。助かるー」

と、須貝さん。

「名前さん、ありがとうございます!」

と、こうちゃん。(名前で呼ぶのやめてって言ったのに。)

順番に飲み物が配られてる。僕は端っこほうにいるから順番的に1番最後に配られることが分かる。
分かってるのに、なんでこんなにモヤモヤするんだろう。
みんなに笑った顔見せないで。優しくしないで。


「はい、山本君」

「あ、ありがとう!」


ふわふわと笑う彼女を、思わず可愛いと思ってしまったなんて、そんなはずない。
僕より小さい身長が可愛いとか、さらさらの髪に触れたいとか思うはずないんだ。
あれ、僕、本当に彼女が嫌いなの?
いや、だって、他の人と話してるだけでこんなに不愉快なのに。


「や、山本君?」

「ご、ごめん」


僕は気付かぬうちに、彼女をジッと見つめてたようだ。
目を逸らすと彼女は失礼しますと、部屋を出ていった。

もし、これが嫉妬なら、僕って本当は名前ちゃんのこと相当好きなんじゃないの。

ふと、僕が名前ちゃんと付き合ったところを想像してまた。
手を繋いだり、抱き締めたり、キスしたり。
容易に想像できて、しかも凄く興奮した。

そっか、僕は名前ちゃんが好きなんだ。

思い立ったらすぐに行動してしまう僕は、すぐに部屋を出た。
部屋を出ると名前はデスクで作業してた。


「名前ちゃん!」

「山本君?どうしたの?」


深く深呼吸した。
心を落ち着かせる。


「僕、名前ちゃんがすっごく好きみたい。だから付き合ってほしい」


え、という顔をした後、彼女は頬を赤く染めて、僕の好きな笑顔で「私もすっごく好き」と言ってくれた。
この笑顔は僕だけに見せてくれないとダメだよ。


その後、みんなから「やっとくっついたか!」「俺殺されなくて済みました!」「自分の気持ちに気づくの遅すぎやん」とか色々言われた。






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