小説 | ナノ


大きな君が、

怖い夢を見ていたわけじゃないけど。



俺は布団の中で丸く縮こまっていた。
なんだか誰かに見られている気がして。
今にも振り返ったら色白の顔が俺を覗いている気がして。
らしくないのは承知の上。
俺はすぐさま隣の布団で寝息を立てる大きな背中にしがみついた。
枕と布団もちゃんと隣の布団に持ってきて、それはもうほんとに小さく、丸くなって彼に抱きついた。


彼─U房は息苦しさに目を覚ましたのか、ぐるりと体を反転して俺に顔を向けた。
俺ははっとしてU房の顔を覗く。


「U房...。」
「.........い、はち?」


ゆっくりと薄い唇から息のような声が発せられる。
彼はとても眠そうで、しばらく目を閉じて、一瞬だけ開けてを繰り返している。


「....U房、どこも行かないで......」
「ふふっ..いかない、ですよ...」


そっと彼の手が俺の頭を包んで、ぽんぽんと撫でた。
暖かい、大きな手のひらで。
再び俺と向き合って眠りに入ったU房の姿を見つめて、俺もゆっくり、ゆっくりと眠りに落ちていった。




end.

(不安も、悲しみも、大きな君が脱ぎ去ってくれるから)



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