光謙 | ナノ

◎付き合ってます。光がただの変態です。



今日やっと、やっと俺はこの計画を遂行できる。


行動速度がスピードスター故に謙也さんの普段晒されることのない部位の肌の露出を、部活終わりの着替えの時間、俺は心イくまで鑑賞できない。
まぁこんな日常に俺が黙っていられるわけもなく、俺は謙也さんの着替えをどうにか遅らせるために制服のシャツをこっそり俺のロッカーの中に仕込ませた。
上半身裸の謙也さんに自身のシャツを部室中探し回ってもらうためだ。
さらに十分鑑賞し終えたら、ロッカーから謙也さんのシャツを取り出し、いかにも自分が見つけたと言い張って、


「財前...っ。大好きや!ほんまおおきに!」


なんて抱きしめてもらう、という素敵すぎるこの計画。
やっば俺天才や...
(実は授業中に考えていたり、考えていなかったり。)


部活の時間になり、部員が出払った後に謙也さんのロッカーを漁り目的のシャツを取り出して、それをぎゅううっと抱きしめる。


「謙也さんの...匂い...っ」


俺は彼のシャツから香るシャツに顔をうずめて、スーッと匂いをかぐ。
あぁ、狂いそう。
温もりの残るシャツを手放すのは惜しむに惜しみきれないが、これから謙也さんのシャツと俺の制服が密室に置かれるんだから、これもなかなかない機会だなんて自分を説得して俺は名残惜しくも謙也さんのシャツを自分のロッカーの中に投げ込んだ。


「これでよし...」


GJ!マジGJ☆俺!
俺は心おきなく部室を後にし、みんなの待つテニスコートへと向かった。


そして、数時間後。
やわやわと部員達が部室に戻ってくる。
俺は謙也さんの姿がばっちりこの目に納められるように先輩たちの一番後ろを着いて部室に入った。



×××××××××××××




「ふーっ、今日も疲れたわぁ。」


謙也さんはいつも通り乱暴にジャージを脱ぎ捨て、ロッカーを開ける。
普段なら、ここからあと3秒もあれば余裕でシャツを着てしまうところだが...


「...っ」


ロッカーを漁る謙也さんの手がぴたりと止まった。
計画通り。この謙也さんの戸惑い様。
すると、そんな謙也さんが気にかかったのか、部長はブリーチ頭に声をかける。


「謙也?どないしたん?」
「シャツが...ないねん。」
「そらおかしいなぁ...。誰か、謙也のシャツ知らん?」


シャツを羽織った部長がみんなに呼び掛けたものの、返ってくる返事はどれも期待できるものではなかった。
そりゃあそうだ。
なんせ謙也さんのシャツは俺のロッカーの中なんやから。
俺は何も知らないフりを装って着替えを終えた。
つか、さっきから部長半端じゃなく邪魔。
部長の裸とか興味ないし、正直さっさとどいて欲しい。


「白石、おおきに。ちょい探してみるわ。」
「おん...。」


何故部長も部長で自分のことのようにしんみりしとんねん。
同情か。謙也さんに同情しとんのやな。部長は。
それやったらまるで俺が悪人やん。(事実そうなんやけど)


まぁでも...。
ここまでは計算通り!
謙也さんは焦ったように上半身裸のまま部室内を物色し始めた。 
今まで部長の影になっていてよく見えなかった肌がさらに露わになる。
日焼けをした腕とは対照的すぎる白い締まった腹。
そこからしたたる汗。
筋肉のついた二の腕。
素敵だ。素敵すぎる。
きらきらと瞬く星屑が彼の軌道を描いている。
あぁ、神様はなんて罪なんだ、こんなに綺麗な人を生み出すなんて。


俺は何を言うわけでもなく、ただただ焦る謙也さんを必死に目で追っていた。






「謙也さん。かわええ、ヤバい。可愛すぎっすわ。」





ぽろり と。



目でそれを追いながら抵抗もなく出た本音。
ただ一言、必死でにやけるのを抑え無表情でそう言うと、さーっと、一気に場が静まり返った。
...あれ。
そないな大きな声を出したつもりはなかったんやけど...。
中腰で棚を漁る謙也さんは俺をはっとしたような目で見た。
その目は深い蒼で、とても綺麗。
あぁ、今そのビューティーな瞳には俺が映っとるんやな...。


「...っ!ざ、財前!せ、せやな!俺も思うねん!謙也の身体結構締まってん。無駄がないな!」


白石部長は俺の発言を誤魔化すように手を振りながら口を挟む。
するとすぐに、それまで俺の発言に口をあんぐり開けていた部員達が、あぁ〜と声を揃えて納得した素振りを見せた。
みんなして、なんやねん。
ホモなんてテニス部じゃ常連さんがいるっていうんだから、俺がホモだって、まぁそうなりますよねっていう具合になるでしょ。


すると、不意に小さな謙也さんの声が聞こえた。
謙也さんは口をふるふると震わせている。
何か言いたいことがあるのだろうか。


「謙也さん...?」
「ざ.........ん............ッカーん.........中......。」
「...は?」
「......ロッカーん中!」
「.........あ。」


謙也さんの指が丁度俺の真後ろにあるロッカーの方を指した瞬間、俺ははっとした。
しまった...
綺麗な謙也さんの上裸にうっとりしとって油断していた...。
後ろを振り返って確認すると、そこには無造作に開いたロッカーから半分程謙也さんのシャツが垂れ下がっている。



あぁ、一番の楽しみが...





×××××××××××××××××





俺は何事もなかったかのように自分のロッカーからシャツを取り出し、それを謙也さんに突きつける。


「あ、謙也さんのシャツやないですか、これ。近くで謙也さんの匂いがすると思っとったんです。」

 
俺らは課題がある、と白石部長を先頭にそそくさと帰っていく先輩らを横目に、ほら、というようにそれを謙也さんの不用心な胸に投げ込んだ。
部長、俺らの交際隠そうとしたっていつかは絶対バレますからね。 
というかむしろ今この場でバラしたかった。正直。
いつか絶対公認カップルになってやる。
...まぁ、謙也さんと2人きりにさせてくれたのは有り難いけれど。


「やっ、ほら、やなくて、そこのロッカー、財前使ってなかったん...?」
「人聞きの悪いこと言わんとって下さいよ。一個隣ですわ。」
「う、嘘や!」
「黙って下さい。」
「やってざい...............っふぁっ......」


じたばたと俺を責め立てる謙也さんの肩を引き寄せて強引に唇を塞いだ。
謙也さんはそんな俺を受け入れようとはせず、断固として口を開かせない。


「......!!!!ふる.........し......ッッ」
「.........っはぁ...。謙也さんが俺に舌入れさせなかったから。」
「ふざけ...んなやっ」


俺は構わずそのまま上半身裸の謙也さんを押し倒す。
身体を重ねるのは、今回で3度目...
くらいだろうか。
兄貴が言うにはこんなん少なすぎて禿げるとか言ってたけれど、俺にしたら謙也さんは俺だけの天使なんだから、これは凄い数だ。
もし俺の精神力がこんな立派じゃなかったら、謙也さん押し倒して少し乳首かする程度でイける。
比較的真面目な話。


シャツは反動で謙也さんの胸からスルリと抜け落ち、再び素肌が露わになる。
こんな状況で、一体どこに理性を抑えられる奴がいるというのか。


「やめっ...こんなとこで、しとう......ないっ!」
「謙也さんが俺の計画無茶苦茶にしたんが悪いんすわ。」
「計......画...?」
「まっ、謙也さんはむっちゃ可愛いから許したりますけど。」
「なっ...あっ...」


俺は感情任せに謙也さんと自身の下を脱がす。
俺の自身はすでに準備万端というように天井を向いていた。
あとは謙也さんを乱すだけの簡単なお仕事。


「やぁっ......ッッぅ、あっ......ひぁっん」


俺は謙也さんの中に指を入れてそれをかき回す。
少しずつ不規則な水音を立てて俺の腕を握りながら下で喘ぐ謙也さん。
ほんま犯則や、こんなん。


「ぅ.....ッ.....謙也さん、感じてたんすか。」
「ぁぅうっ...かん......ってないわ!」
「やって、もう入れた時から濡れてたんやもん。」
「しっ.....らぁっっん..........ひぁっ」


俺は前回やっと見つけ出した謙也さんのスキなトコをあら探しをする。
引っ掻いて、奥までいって、戻って。


「あぁっ、ひかっ.....やぁっ!」
「.........ふぅん、ここですか。」


俺は謙也さんが一際高い声を上げた一点を責める。
謙也さんは口から透明の露を垂らして、顔をピンク色に染めて小刻みに腰を動かしている。
それは、わざと俺の指に加えて自分の一番よく知っている場所を癒そうとしているようで..
そんな謙也さんを見つめていると、自身から滴る先走りが謙也さんの太股に伝っているのが目に入った。


「ひか.....る.....ッあぁっん、あふぅ.....ッ..」
「はぁっ、謙也さんまじ天使.....っ」
「だま.....っれやぁっっっ」


俺の腕を握る謙也さんの手に力が入ったその瞬間だった。
謙也さんの愛おしい自身から勢いよく出た蜜。
謙也さんが、俺を、感じてくれている。
しかも、俺の指だけで。
謙也さんの濁った精液は俺の腹を染めた。


「もっ、もぅや.....ッら!」
「嘘ばっかり。...っ、今挿れたりますから、ちょお待ってください。」 
「いぃっ....ッ、はぁっ。」


俺は体勢を立て直して謙也さんの蕾に自身を宛がい、一気にそれを挿入した。
先走りと蜜が滑って、中へは簡単に入ることができたので、俺はそのまま身を勢いに任せて突いた。


「はぁんっ、や....ぁぅうッ、ぁんッッ、あはぁ....っんッ」
「....ッ..........はっ、はぁっ、謙也さっ........っエロっ...。」
「ひゃあっ、もッ、あッ、イっ...くぅッ」
「えっ、もうですか?...っちょ、謙「ひぁぁあぁんんんッッ」」
「.....................嘘やろ」


なんと、まぁ。
昇天さえもスピードスターとかシャレにもなんにもなってないんやけど、謙也さん...。
謙也さんは俺の下で再び精液を放って、うつろな目で荒々しく呼吸をしている。


「.........っ財、前?」
「?」
「....................好.........き。」
「あぁっ、やばい、勃ちそう。」
「.....やんなら一人で、よろしく頼むわ。」
「...っ、ツンデレなとこもやっぱ天使っつかもう神上回りますわ。」
「ほんまや、アホ...!もう腰動かんし...!」


あの授業中考えた計画の課程とはかなり違った形になったけど...
せやかて、好き言うてもらえたし、それ以上のこともできたから...



結果オーライ







(ピンチは最高のチャンスに変わる)










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