君が悪い
人という生き物は、何時豹変するか分からない危うさを持つ。本人は決して意図的に仕組んだ訳ではない。そんな頭があるなら、もっとテストで点数を取れと現代文担当教師に説教されるだろう。
「名前ちゃん?如何して距離を取るのかな?」
「だ、太宰さんが近付いて来るからです」
無人の教室で普段通りの筈なのにそうじゃない太宰が後ろへ逃げる名前を壁際へ追い詰める。
すっと細められた瞳。拙い。身の危険を感じた名前は無駄だと分かっているのに太宰の前に炎を出現させた。異能無効化の能力を持つ太宰が触れれば炎は消えた。が、名前の姿も消えた。
「やれやれ、私は鬼ごっこは得意なのだよ?」
何処に逃げたのかなー。のんびりとした様子で教室を去った太宰を確認すると教卓の下から出て来た名前。ふう、と安堵の吐息を零した。
大体、珍しく太宰が怒っているのは全部彼の男子生徒のせいだ。
放課後、(何故か)迎えに来ると電子手紙を送られ、仕方無く教室で待っていると隣のクラスの男子生徒が突然やって来た。
『雪平さん…だよね?』
『そうだけど…』
誰だっけ?会った事あったっけ?等と名前が考えていると露知らず、男子生徒は顔を赤らめ、勢い良く言い放った。名前が好きだと。いきなりの愛の告白にポカンと口を開けた。男子生徒には悪いが誰か知らないし、仮に付き合ったとしても知り合いの二人が絶対に許さない。すいませんと謝った名前に男子生徒はショックの効果音が付きそうな程沈んだ。考える素振りも見せず、即答だったからかもしれない。俯いた顔を上げた男子生徒は、ならせめてと云って名前に抱き付いた挙げ句口付けをした。凍り付くも我に返った名前により、男子生徒は顔面に鉄拳を食らう事になったのだ。
―――気持ち悪っ!!何コレ!?触られたとこも鳥肌が止まらない!!
知り合いの内二人によくキスはされるし、今の様に抱き締められたりもする。だが、身の毛も弥立つ気持ち悪さを感じた事はない。袖で口をゴシゴシと拭いていると『名前ちゃん?』と今聞いてはならない声が。恐る恐る後ろを振り返るといた…
『だ、太宰さん』
『名前ちゃん…今のは何かな』
『何って、私が訊きたいんですけど、』
『前から云ってるでしょ?君は警戒心が薄い。特に、親しい相手と如何でもいい相手には』
『…』
其処からは先程のやり取り。
太宰に見つかる前に探偵社に行こう。窓を開け、下を見た。三年生の教室は二階。余裕で飛び降りれる。足を掛け、飛び降りようとした時―――
「つーかまえた」
「!?」
背後から伸びた腕が名前の腰に回り、後ろに引き寄せられ近くの机に押し倒された。犯人は云わずとも分かる。
「ま、待って」
「待たない。何回もお預けを食らってもう限界なのだよ私も。初めては優しくしてあげたかったのに…名前ちゃんがお馬鹿さんな事をするから、」
「やっ、太宰さ、」
「出来なくなるよ」
今まで何度もあった。未遂に終わっても与えられる快楽に狂わされ、壊されかけた。今から行われる行為は其のどちらか、両方か。
「んんっ…ん…や…だ…」
「抵抗しちゃ駄目だよ?痛いのは名前ちゃんも嫌でしょ?」
両手を脱がされた制服で縛られ、下着のホックを外された。露わになった豊満な胸。顔を真っ赤に染め、涙に濡れた瞳で見上げられ、ゾクゾクと背筋に痺れが走る。今日は邪魔をされる可能性はゼロに近い。
小刻みに震え厭だと泣く名前にまた背筋に痺れが走った。漸く此の少女を自分の物に出来る優越感と自分にだけ見せる啼き顔を想像するだけでゾクゾクする。
*******
―――どれだけの時間が経っただろうか…少なくとも、青い空が夕焼けに変わる程の時間が経ったのは確かだ。
「ああ…ああっ…んあぁ…!!」
「んう…名前ちゃん、また?あまり達し過ぎると馬鹿になるよ?」
「ひああああぁ!あああっ、ひあら、だざいさんっ!」
時間が其れだけ経ったという事は、太宰によって頭が可笑しくなるぐらい快楽を与えられているという事。口でそう云っても名前をイかせているのは間違い無く太宰本人。まあ馬鹿になったらもっと可愛いからいいけどね。甘い言葉を囁きながら、其の手は名前を快楽のどん底へ突き落としていた。胸の飾りを舌で転がし、左手を体の下に潜り込ませもう片方の胸を愛撫し、右手の指で秘部の中を掻き回して三重もの快楽を与えていた。身動きを封じられ、ただ喘ぎ声を発するしか許されない名前に偶に耳元で意地の悪い言葉を囁いては泣かせてイかせてばかり。とある場所を軽く引っ掻いただけで大袈裟に身体を反り絶頂した名前の涙が雫となって飛んだ。はしたなく机だけでなく床を汚した様子から、二度三度愛液を吹き出したのが丸分かり。胸元に吸い付き華を咲かせて太宰が離れ、やっと終わるかもしれないと安堵したのも束の間―――
「ひっ、あぁ、ふああ!」
「ん、名前ちゃん力抜いて」
まだ脱がしていなかったスカートを脱がし、黒のソックスしか身に着けていない姿が扇情的で無意識に下唇を舐めた。両脚を開いて間に身体を割り込み、ヒクヒクと蜜を垂らす其処に痛いぐらい膨らんだ肉欲を押し付ければ、名前はビクリと指よりも大きい其れの熱に震え、厭厭と首を振った。が、太宰がはい分かりましたと頷く筈もなく、優しく笑んで唇に口付けを落とすと―――一気に中を貫いた。
何時も何時もタイミング良く邪魔が入り最後まで持ち込めなかったが其れも今日で終わり。想像以上に中は狭く熱く、侵入物を逃がさまいとキツく締め付けてくる。処女好きな男の気持ちがよく分かる、其れだけ此の締め付けは癖になりそうだ。と、下で激痛に堪え大粒の涙を流す名前に構わず腰を動かし始めた。
もしも、彼の時彼女を捕らえていれば、自分は如何していただろうか?
首領の様に常に側に置かせておくか、其れとも今の様に身体を求めたか…
「(…両方、かな。名前ちゃん…君だけは誰にも渡せない。私だけが知っている君の秘密がまた増えたね)」
今は痛くても此からは欲しくて堪らなくなる其れで何度も何度も突いて名前を絶頂させた。
END
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