エルヴィア…エルヴィア…エルヴィア…私の愛しい娘(こ)…
もう大丈夫よ、お母さんが守ってあげるから
こんなに顔を汚して…貴女はいつも落ち着きがないね…誰に似たのかしら
エルヴィアの髪はドンの、顔や瞳は私に似た。可愛い可愛い私の娘
早く起きて朝御飯を食べましょう。エルヴィアは…苺が好きだったわねえ…
さあ、エルヴィアの好きな苺よ。お母さんが食べさせてあげる
如何して食べないの?この苺は嫌いなの?
ねえ…エルヴィア…エル……
「あ…あ………いやああああああああああ!!!!」
愛しい娘は何処へ行った?女が苺を食べさせようとした娘は性的暴行された挙げ句殴り殺された死体となり、女の目の前にいた。悲鳴を上げ、後ずさる女の動きを封じた太宰が後ろに回り込み、耳元で囁いた。「娘さんの好物なんでしょ?食べさせてあげなきゃ」掌サイズの石を女に持たせ、部下に幼女の死体を女の目前に突き出せると石を持たせた腕を掴み、膨れ上がった顔に石を押し付けた。瞼どころか、口さえ開けなくなった顔はどれだけの暴行を受けて変形したのか。たった一人の幼女相手に何人の男が手を出したのか。太宰は半狂乱する女の髪を鷲掴み此方に向かせた。
「私は女性は皆好きなのだよ。本当にこんな事はしたくない。此れは私の本心だ」
太宰に向かされた女の目に映るのは太宰ではない。誰も、何も映していない。果てのない絶望に落とされた人間の目だ。口角を吊り上げ、最終行程に取り掛かろうかと内心呟くと手を髪から離し、ずっと壁に寄り掛かり拷問を眺めていた中原に目を向けた。軽く舌打ちを打ちつつ、外套を部下に持たせ女の前に立った。一人でも十分に女を吐かせられる太宰が中原を加えたのは、
「暇そうにしてる中也に気を遣った私の思い遣りだよ」
「気色悪い事云ってんじゃねえ。単に女を拷問するのが面倒になっただけだろうが」
「私は女性に酷い事はしたくない。中也は、相手が誰だろうが容赦無しだから問題ない。合理的だろ」
何が悲しくて此奴の中途半端を受け継がないといけない。苛々しながらも中原は女に意識を集中した。太宰に気を持っていかれると疲れるのは分かりきっているから。
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