「…ね、私攻めになりたい」

ベッドの上での発言。
可愛らしい彼女から紡がれた言葉に、少し吹き出しそうになる。

「んー…」
「ね、いいよね。」

今の今まで攻められてよがっていたのに、と我慢できずに含み笑った。

「むー…どうして笑うのー」
「だって、ふふふっ…」

彼女が少し拗ねたようにして頬を膨らませる。柔らかなそれをつついてやった。

「攻め、でもいいけど…無理じゃない?」
「ええ?なんでー?」

だって、と続ける前に彼女の体を捕まえ、抱き寄せる。
温かく柔らかで、甘い香りのする、体。
抱きしめたその腕で、背筋をなぞり上げると、擽ったそうに身を捩るのだ。
その仕草が色っぽくて、直ぐに火を付けられてしまう。

「ほら、やっぱり…」
「あ、ぅ、卑怯だよぅ…!」

「もう…誘ってるって自覚、無いもんなぁ」

腕の中で、緩い愛撫に震えながらいやいやする彼女に、優しく口付ける。

「攻めは、また今度ね。」

にっこり笑って告げた。
文句を言いながらも溺れる君に、私も溺れてゆく。

二人でもう一度甘い時間を。




10月23日


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