「はーい、恒例の罰ゲームだな。なーにしよっかなー。」

うきうきとして言う彼を無言で悔しそうに睨み返す彼女。
その強気な眼差しが、いい。そして猫は先日から考えていた方法で罰を与える事にした。

「取り敢えず、脱げよ。できるだけいやらしくな?」

気軽に頼むような口調で、それでも拒否させないきっぱりとした命令口調に、彼女の顔が引き攣っている。

「そんな…っ」

「ん?口答えしていいのか?今ここで俺の機嫌損ねたら、あの作品、世間に出したままにするぞ。」

唇を噛むと、彼女は猫の視線から顔を背けて逃れた。
彼の命令と脅しがぐるぐると思考を乱して毒のように回っていく。
苦し紛れに吐かれた言葉は。

「こ、この鬼畜……」

「どーもありがとう、褒め言葉だ。」


アレがばら撒かれるなんて、とんでもない。ありえない!
ここで彼の要求を飲まなければもっと酷いことになる…。というか、もうなってるのだ。
どうすればいい。どうすれば。
けれど与えられた選択肢はただひとつ。


悔しげに顔を歪ませる彼女の葛藤が手に取るようにわかって、猫は大いに面白がっている。
先日強引に迫った時、気絶されて手が出せなかった。鬱憤を晴らす。もちろん、それだけが理由ではないが。
部下をいじめるのは、楽しい。

「……くっ」

にんまりと笑った猫の思い通りになるのはシャクだが、唇を一文字に引き結び、覚悟を決める。
どうせ一度は見られている、かもしれないんだし、だとすれば何回でも同じ。

けれども改めて鑑賞されている思うと、羞恥に手が止まってしまいそうだった。
動かない頭で必死に、猫の好みにを満たそうと考える。

彼の好みのシュチュエーションは。
こんな形で今まで集めた彼の情報を役立てる日がくるなんて。




彼女はくるりと猫に背を向けると、まずジャケットのボタンをすべて外して、ズボンのベルトに震える手をかける。
かちゃりと金属の音が静かな室内に鳴る。ベルトの金具を外しゆっくりとズボンのチャックを下ろすと、一気に腰の下までズボンをずらす。

それだけの挙動で、恥ずかしさで気が狂いそうだった。
彼がどんな顔で何処を見ているのか、背を向けていて見えないのに、分かってしまう。

柔らかい色の下着に包まれたハリのいい丸いヒップは、彼女がズボンを脱ぐ動作をするたびジャケットとシャツの裾からチラチラと覗いていた。
バランスをとりつつゆっくりと片足を上げて、ズボンを脱ぎ去った。白い健康的な下肢が現れる。

太ももやふくらはぎは白く柔らかそうだ。
腰つきもいい。
騎乗位で弄んだら、楽しいかもしれない。
簡単に想像できたその光景はなかなかエロい。
やっぱり、AV女優の素質あるよな、本気で落としてやろうか。

…それも、いいかもしれない。


スボンを荒々しく床に放り投げ、彼女は猫に向き直る。
屈んで、靴と靴下に手をかけた。

よほど恥ずかしいのか、さらりと髪が流れて覗いた彼女の耳は真っ赤だ。
羞恥で鈍る動作も苦にならないのは彼女の工夫があるからだろう。

靴の紐を解こうと屈んだ時に見えた強調されて見えた胸の谷間や、靴下を脱ぐ時に一瞬見せた表情なんてとても唆る。
一つ一つ外して脱ぎ散らかされた衣服。残りはあと僅か。

肌を覆うようにしゃがみこんでまった彼女が、顔を上げる。
猫の表情を見て、彼を睨みつけながらも次の行動に移った。

白い指が動く、つま先からふくらはぎ太ももと、自分の身体を誘うようになぞり上げ、腰で止まる。
潔くそのまま下半身からゆくのかと思いきや、猫を焦らすように下着には手が伸ばされず、白いワイシャツのボタンに指はかけられた。

彼女は目をたのしませるであろう無駄な動作を織り交ぜ時間を稼ぎながら、激しく後悔していた。
暑いからと着替えの時に肌着を着なかった。ワイシャツの下はブラだけだ。まるで本当にAVみたいじゃないか。

下着と同じ色のブラと、控えめな谷間が、シャツの隙間から覗く。
ボタンを全て外し終えるとジャケットも脱いだ。

下着の上にワイシャツ一枚だけの格好となって猫の前に立つ。
着衣もえろい。よく自分の好みを分かっている。
これも調べていたんだろうかと猫はのどの奥で低く笑った。

彼女は猫が下した「できるだけやらしく」という命令を懸命に守っている。
合格だ。

薄いワイシャツは、下着の色を透けさせ彼女の体の線を隠しきれずに頼りなさげに体を覆っており、
安いシャツの光を弾く蛍光的な布の白さは、はだけられた隙間から覗く自然で柔らかそうな象牙色の肌を見事に対比させる、すばらしいアイテムへと変わっている。

チラリズムを駆使し、扇情的な姿となった彼女は動きを止めた。
まだやるのか、と不安そうな表情と縋るような瞳でこちらの出方を伺っている。

猫はこのまま全裸になるまで続けさせようか迷ったが、丸裸の彼女よりも、下着とワイシャツ一枚の姿の方が部下と上司でそういうことをしてると強調できるだろうと、ほくそ笑んで新たに命令を下す。


「こっちに来て。」





→続?




2013/04/08
しつこく描写するのは私の趣味。
「#寸止め」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -