03
「真冬君」
着替え終えて部室から出て、さあ帰ろうとする時に声をかけられた。
その声には聞き覚えがあり、俺は笑顔で振り向いた。
「久しぶりだな、テツヤ」
「はい。元気そうでよかったです」
心配していたんですよ。と変わらず無表情だが声のトーンからして本当に心配してくれていたらしい。
「テツヤのおかげでこの通り。誘ってくれてありがとな」
「いえ、僕は別に。また君の笑顔が見ることが出来て良かったです」
「俺も、またテツヤとバスケ出来ると思うと嬉しいよ。まあ今はこの腕を治すのに専念しないといけないけどな」
「……そうですね」
んじゃ、帰るか。そう言ってどちらともなく歩き出した。
他愛も無い話をしながら歩いているとお馴染みの看板が顔を出した。
「あ、ここ寄ってもいいですか?」
指を指しながら聞いてきた為、そちらの方に顔を向けた。
「ああ、マジバか」
「好きなんです。ここのバニラシェイク」
「相変わらずだな」
笑いながら返すと少しムッとした顔をしたものの、すぐに何事も無かったかのように無表情になった。
「俺ちょっとお手洗い行ってくるわ」
適当に座ってて。と伝え、目的の方に足を向けた。
「おまたせテツヤ」
影が薄いから見つけるのに少しだけ苦労したがなんとか見つけたその背に声を掛けたが、何やらついさっき見たような人影があった。
「あれ、確か火神、くん……だったっけ」
「お前は……丁度いい、ついてこいよ」
これ食ってから、と何かを思いついたか強制的に連れていかれるよう。
その前に机の表面を覆い尽くす量のバーガーに目がいく。
「これ1人で食うのか?」
「あ?普通だろ」
「普通ねぇ……」
人それぞれだからいいけど。
それからあの量を瞬く間に食べ終え、3人で近くのストバスコートへ向かった。
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