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ガコンッとゴールが鳴りボールがバウンドした音が響く。
1on1が始まり黄瀬の動きに火神がついていってると誰もが思ったが結果はこの通り。
練習の時にダンクをした火神の動きをそのまま再現してみせた黄瀬がゴールを決めた。
皆が唖然としている中で声を上げる。

「あいつは見たプレイを一瞬で自分のものにする。模倣とかそんなレベルではなく、完全に自分のものにします」

それに、パワーもキレも黄瀬の方が上だった。

「これが"キセキの世代"……黒子お前の友達凄すぎねぇ!?」

「……あんな人知りません」

俺も想定外だった。
自分の考えが甘かったのを今になって後悔した。

「正直さっきまで僕も甘いことを考えてました。でも数ヶ月会ってないだけなのに彼は……予想を遥かに超える速さで"キセキの世代"の才能センスは進化している!」

尻餅をついている火神の元凶となった張本人はそれを気にもせずゴールを潜ったボールを視界に入れながら頭に手をやる。

「んーこれはちょっと……こんな拍子抜けじゃ、やっぱ挨拶だけで帰れないスわ」

独り言のようにぽつぽつと言った黄瀬はボールから俺とテツヤに視線を向け直し、歩み寄って言った。

「やっぱ黒子っちと橙山っちください。海常ウチおいでよ。また一緒にバスケやろう」

火神が1on1で負けたこと、それに加えあまりの衝撃の言葉に言葉を失った。
ごくっと誰かの唾を飲む音が聞こえるがそれを遮るかのように黄瀬は言った。

「マジな話、二人のことは尊敬してるんスよ。こんなとこじゃ宝の持ち腐れだって。ね、どうスか」

俺達の返答が気になるのか、じっと見つめてくる皆の視線が痛い。
そもそも黄瀬の話にホイホイ乗っかっていたらテツヤと一緒に誠凛ここに来た意味がない。
そんな俺の気持ちが伝わったかのようにテツヤが答えた。

「そんな風に言ってもらえるのは光栄です。丁重にお断りさせていただきます」

その返答が予想外だったのか、文脈おかしくね!?と、驚き当たり前だと思っていることを口にした。

「そもそもらしくねっスよ!勝つことが全てだったじゃん。なんでもっと強いとこ行かないの?」

「あの時から考えが変わったんです。君たちを……"キセキの世代"を倒すと」

「……やっぱらしくねースよ。そんな冗談言うなんて。こんな調子じゃ橙山っちも無理そうっスね」

黙って聞いていた俺に急に話を振られたがそれを笑いながらも肯定する。

「当たり前だ」

そう言うと分かっていたのか黄瀬も悲しながらも微笑んだ。








「橙山っち橙山っち!1on1しよ!」

「はぁ?お前この腕見えねえのか」

「冗談は顔だけにしてください」

「そんなに言わなくても良いじゃないっスかぁ……」

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