【重なり合う君と僕】


手を伸ばせば隣に居る
ほんの少しの距離がもどかしくて
僕は君を追いかける

そうして触れた君は一瞬だけ微笑んで
嬉しそうに僕を迎える

けれども僕はまた君から離れていく
ほんの少しの距離が段々と広がっていく
もう君は手の届かない場所に居る

動かない君は変わらずに
僕だけが変わっていく

君は悲しそうに僕を見つめて
少しだけ自分で歩き出した

でも僕はもう引き返せない

一度だけ重なり合った僕たちは
同じ時を重ねることはない

あの時、君と触れ合って
そのまま止まってしまえば良かったのに