「ウケる〜。いつまで蚊帳の外からミセリアを見守ってるつもり? 本当は自分のこと思い出して欲しいくせに」

「……」

「そうやって我慢ばかりして苦しくないの? 可哀想なフェーリーキタス、僕といればこんな悲しい思いはせずに済んだのに……」

ごちゃごちゃと横で愛しい兄の姿をしながら聞いてない事ばかり言うダークミセリアは地上を見る私の顔を覗き込んできては笑みを向けてくる。
そんなダークミセリアを無視して地上にいるミセリアことキリに視線を向ければ、牙王くんと別れた後も嬉しそうな表情をしていた。やっぱり牙王くんはいい人だった。私もキリの嬉しそうな顔を見て安堵し、笑みが零れる。

「牙王くんはむかーしからあんなだよね。本当変わらないよ。なんで知ってるの?って顔してるね? だって僕はダークミセリアだよ? ミセリアのことならなーんでも知ってるからね!」

「……さっきから五月蝿いんだけど」

「君が聞きたそうな顔をしてるから喋ってあげてるのに酷いな…。まあフェーリーキタスだから許してあげるけど」

ダークミセリアはクスッと鼻につくような笑いをしてから私の背後に回れば、肩と頭に手を回してきて頭を自分の胸に押さえ付けて離さないかのように抱き締めてきた。

「ミセリアは記憶を取り戻す前に大切な妹を僕に取られたらどう思うのかな〜? 気になるよね?フェーリーキタス」

ダークミセリアの手を振り払おうと体を動かそうとしたが、指1本すら動かなくて焦った。頭から感じるダークミセリアの温もりはミセリアと酷似していて昔を思い出し、不思議と涙が出る滲み出てくる。
違う、寂しくて泣いているわけじゃない。ダークミセリアが、こいつが……!

「泣かないでフェーリーキタス。僕がいるよ」

その言葉は昔のミセリアと重なった。
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