ヤミゲドウが倒され、裏角王も消えたらしい。
裏角王にはもう一人のミセリアが居た。私はそのファイトを見ていてキリ達が勝ったときはとても嬉しかった。しかし、ダークミセリアとは一度だけでもいいから実際会ってみたかったなあと思う。
「あれ、ノボル?」
「お、名前じゃねえか」
キリのカードショップの付き添いで来ていたところ、猫シャツのノボルに会った。隣に竜騎士エル・キホーテを連れている。
「珍しいな、お前バディファイトなんてやんねえくせに」
「キリの付き添いでね」
ノボルはダークミセリアを一時期デッキに入れてたことがあるが、やっぱりカードは消滅したのだろうか。少し気になる。
「ねぇ、ダークミセリアのカードって消滅しちゃったの?」
「ん? いや、未だに残ってんだよな。デッキに入れてねえけど」
そう言ってノボルは自分のコアデッキケースからダークミセリアのカードを出した。
「うそっ! えっ!」
私は喜びのあまり声をあげた。ダメ元で聞いたはずなのにまさか残っているとは。
「………!!」
ノボルに「欲しい」と素直に言うことができない。
「……欲しいならくれてやるよ。こんな奴もう使わねえしな」
「本当!?」
ノボルは私が差し出した手にダークミセリアのカードを置いた。私はそれをまじまじと見る。
「ありがとうノボル……! すごい嬉しい……!」
自分でも抑えられないぐらいの笑みが零れながらノボルにお礼を言った。
「お、おう……」
ノボルは少し顔を赤らめて返答したらしいが、私はダークミセリアに夢中だったので、ノボルがそんなことになっていたことは知らない。
まじまじと見ていると、どこからか声が聞こえ、私の持っていたカードが光った。
「フェーリーキタスじゃないか、ミセリアと同じような格好しててウケる〜」
目の前に現れたのは真っ黒なミセリアで、それがダークミセリアとわかるのには少し時間がかかった。
「お前、消滅してなかったのかよ!」
ノボルがそう言うと、ダークミセリアはまた「ウケる〜」と言った。
「確かに僕たちは角王を素材としてヤミゲドウから作られたモンスターだけど、ヤミゲドウが完全に倒されたからって僕たちが消滅するとは限らないのさ。モンスターはそうそうポンポンと消えるものじゃないからね、ウケる〜」
「お前らはポンポンと生み出されたけどな」