神童兄 | ナノ
お土産の話

空港までお迎えに来てもらい、家の前で下ろされた。数年ぶりに見る日本の家は前よりも小さく感じる。
キャリーバックを掴み、自分の家の扉を開けば、そこにはメイドと執事が並んでいた。
声を揃えて「おかえりなさいませ、光貴様」と言われるのも身に染みる。
近くにいたメイドに、俺は父と弟の事を聞いた。


「はい、旦那様は会社の方に行かれております。拓人様はお部屋にいます」


俺はそれを聞くと、「ありがとう」と言った。
執事に「お荷物をお部屋まで御運びします」と言われキャリーケースを預け、俺はうろ覚えで拓人の部屋まで行く。
長い廊下に数々の部屋。どっかの突き当たりだと思い出しながら、真っ直ぐ前に進んできた道の突き当たりの部屋のドアに手をかけ、ノックをする。
中から「どうぞ」と声が聞こえれば、俺は扉を開いた。


「よう」

「兄さん……!」


拓人は勉強机の椅子から立ち上がると、こちらを驚いたように見た。
俺は拓人に近寄り、頭を撫でる。


「元気だったか?」


やんわり微笑んで拓人にそう言うと、拓人は静かに椅子に座り、「はい」と嬉しそうな声で言った。
「そうだ」と言って拓人の頭を撫でるのを辞めると、拓人の部屋から出ようとドアに手をかけた。


「俺の部屋に来てくれ、渡したいものがある」


そう言うと、拓人は「一緒に行きます」と言い、さっきまで勉強していただろうと思われるノートを閉じ、俺の後を付いてきた。
拓人の部屋の一個となりの部屋に入れば、前とは変わらず風景で、ホコリ等もなく綺麗だった。
さっきまで俺が持っていたキャリーケースもあり、俺はそのキャリーケースをベッドの上に置き、キャリーケースを開いた。
「どこに入れたかな」とキャリーバックの中を漁っていると、中に付いていたポケットにお目当てのものがあった。
それを袋から出し、「拓人、おいで」と言って拓人を俺の座っているベッドの近くまで来させる。


「ブローチだ。亀型で綺麗なブルーで光の加減で色が変わるから是非お前にと思って」


拓人の手に優しく置くと、拓人はそれを両手で受け取り、まじまじと見た。


「どうだ?」

「とても嬉しいです! でも高かったのでは?」

「別にたいしたことないさ」


キャリーケースの中をまさぐったので、綺麗に入れ直すと、カバンを閉じて床に下ろした。


「ありがとうございます、兄さん!」


昔と変わらず、嬉しそうなときに頬を少し赤らめる癖は未だに残ってて、なんだか嬉しく思えた。
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -