神童兄 | ナノ
海へ行く話

テレビのCMに流れてきた海を見て、俺は少しながら行きたいと思った。しかし俺一人で行くのも寂しい拓人だけ誘ってもアレだと思い、また「たくさん誘えよ」とだけ拓人に言っといた。
後日新品の水着が入っている荷物を片手に神童家の駐車場に行けば、わんさかと拓人と同じぐらいの子がゾロゾロと。以前家に来た子もいれば、初めて見る顔もいる。皆サッカー部員なのか、とか思いながら車のトランクを開け皆の荷物を入れていく。


「拓人、今日何人いるんだ?」


近くで荷物入れを手伝ってくれる拓人に聞いた。
拓人は俺に聞かれてから目で一人二人、と人数を数え始めた。


「俺を入れて11人です」

「予想以上だな……」


5、6人を予想していたが倍の人数が来た。
まあ多ければ多いほど楽しいと思うけど、今荷物を詰めているのは普通の大型車だ。俺も入れて12人とか定員オーバーなのでは……?


「もしかしてサッカー部全員とかか?」

「三年生の先輩方を除けば皆来てます」


……まてまてこれは合宿じゃないぞ。夏の大会が終わって三年生が引退したあとに残りの選手を強くしようと企画する強化合宿じゃないぞ……。
荷物を詰め終わり、車に乗れと声をかけ順に乗っていく。後部座席は彼らに任せよう、とか思っていると「お前もっと詰めろよ」とか「ジャンケンで負けた奴が真ん中の通路で座る」とか聞こえた。確か後ろの座席は対面式になっていて、その間に通路ができるはずだ。そんな会話を聞いていて、小さな車ですまんと思った。
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