神童兄 | ナノ
外食の話

部活帰りに神童のお兄さんに会った。光貴さんはこれから神童と外食をする予定らしく、「良かったらどうだ?」と誘われた。
俺はこんなチャンス滅多にないと思い、親に連絡をとると言って二人から少し離れ、携帯を耳に当てた。そして親から了承を得ると、三人で飲食店が多そうな場所へと向かった。

神童家が外食するとしたらどこ行くんだろうか、と少しドキドキしていた。
すごい高そうなレストランに連れて行かれたら、とか考えながら光貴さんの後についていくと、光貴さんが立ち止まる。目の前にあった店は、そんな豪華そうにも見えないレストラン風のステーキとハンバーグの専門店だった。
中に入れば並みのファミリーレストランよりは綺麗な感じの所で、広々とした空間だ。四人席のところに案内され、俺と神童は隣に座り、正面に光貴さんが座る形になった。
俺はステーキはおろかハンバーグなんて自家製とどこぞのファミリーレストランでしか食べたことがないし、専門店なんて初めてなので料理の値段と味に物凄く興味が高まる。そんな俺の横に居る神童はさっきから地味にそわそわしている。


「神童外食は初めてなのか?」


話しかけてみれば、神童は少しびっくりした様子でビクッとし、「あぁ」と言った。


「家ではシェフが居るし、外食なんて遠出した時にしかしないんだ」


シェフ……俺はその言葉をリアルに使う人は初めて見た。
神童ってそう言えば財閥の息子なんだ、と改めて実感させられた。


「好きなの頼んでいいぞ」


光貴さんはそう言いながらメニューを広げている。俺たちの人数分あるメニューを手に取り、一つを神童に渡し、俺は遠慮しながらメニューを選び出来るだけ安いやつを頼もうと値段に注意しながら見た。とは思ったものの、1000円以内に収まるぐらいのメニューばっかで肝を抜かれた感じがする。
なんだ普通のレストランか、と失礼に思いながら普通に好きなメニューを選んだ。選んだものを注文し、それが目の前に出されると部活後の空っぽの腹は物凄く虫が鳴る。なれないナイフとフォークを使って一生懸命食べる中、隣と正面を見れば音を出さず静かに食べている神童兄弟が目に入る。
これが一般人と金持ちの差か、と思った。
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