神童兄 | ナノ
もんじゃの話

「拓人、もんじゃ焼き食いたいからお前の友人呼んでいいぞ」


いきなりだった。俺の部屋にノックもせずに入ってきた兄さんはそれだけを言ってどこかへ行ってしまった。
何事だと思いリビングに行けば、テーブルの上には大きなホットプレートが敷かれていて、ヘラやソースなどの調味料などもある。あの人、やる気まんまんだ……。
俺はポケットに入っていた携帯を手に取り、連絡先を見てもあんまりいない。
とりあえず天馬や霧野に電話をし、連絡網みたいな感じで回っていけばいいと思う、ということで俺は二人に電話をした。二人に「いろんな人を誘ってくれ」と言ったが、多分サッカー部がぞろぞろ集まるだけだと目に見える。
使用人に訪問者が来たと告げられると、俺はリビングに通すようにと言った。しばらくしてリビングに来たのは、思った通りのメンバーだった。


「しかし、なんでいきなりもんじゃなんだ?」

「兄さんが食べたいらしくて……」


霧野が俺に聞いてきたが、俺もわからない。


「ちゅーか、神童って兄貴いたんだ」


浜野が言う。俺はそんな言葉に笑って返した。
するとリビングのドアが開いた。そこには買い物袋を持った兄さんがいて、今日来た10人ぐらいの視線がそっちへ一気に向いた。兄さんは少し驚きながら俺らの人数を数え始める。


「拓人を入れて9人か。俺は光貴だ、よろしくな」


兄さんがそう言うとソファーに座ってた皆は挨拶をし、兄さんは早速もんじゃ焼きをつくるのに取り掛かった。
俺たちも二手に別れ、それぞれもんじゃ焼きを焼き始めた。お互いに好きな具材をいれ、俺と同じグループの浜野は「海鮮風っしょ」と言ってたことかエビを入れている。それに対抗して倉間が「肉を入れろ」と肉を。
そんなところに霧野が止めに入り、浜野が入れすぎた具と倉間の入れすぎた肉を取り出す。それを見ててなんだか面白くなり少し笑ってしまった。
隣の方は一年生のグループで、兄さんが手伝ってあげている。天馬と信介と影山は兄さんの手さばきに目を輝かせて見ていて、狩屋は興味なさそうに見えながらもまじまじと兄さんの手元を見ている。
お互いに二つのもんじゃが出来上がり、兄さんを入れて10人で四つのもんじゃを分けた。


「美味しいな」

「そうだな」


霧野がヘラで食べるのを見よう見まねで同じように食べた。
初めて食べるもんじゃだが、部員のみんなで食べるとより一層美味しく感じた。
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -