「本当に良いの? もし私達の存在が警察にバレたら、光貴くんも指名手配犯になるかも知れないのよ…?」


リンカの車の運転席に乗り込んでシートベルトを締めようとした所、助手席に座っていたリンカが神妙な面持ちで言ってきた。俺はリンカを横目で見ては、車のキーを鍵穴に刺してエンジンをかける。


「…俺がここにいる時点で警察内では指名手配犯のような物なんだからさ、その話はもういいよ」


聞き飽きたさ。微かに口角を上げて見せれば、リンカの表情は相変わらずだった。職を捨てたのも既に警察に追われる身になっているのも、全て自分で選んだ道。地の底まで落ちた俺にはもう失う物は無いと思っていて、今の気分は状況に不相応だが晴れやかであった。俺はそんな気分で車を発進させると、小さくため息をついてリンカに言った。


「やるんだろう、ジャーナリストさん。……真実を伝えるために」

「……そうね」


運転をしていてリンカの表情は見れなかったが、声色でその覚悟を改めて確認した。お互いに目的は違うが、終着点は一緒であった。


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -