今日はサリバン様も入間様も学校の方に出向いていて家には僕とオペラしかいない。だからと言って仕事を疎かにすることはせず、オペラが書斎の掃除をする一方で僕は僕達自身の昼食を作っていた。
普段料理はオペラが担当していて僕は食材を切る程度しか手伝った事がないのだが、もしなんらかの理由でオペラがいなくなった時は僕がご飯を作らなくてはいけなくなる。そんな時のために向けて最近になってやっと練習をし始めたのだが、焼き加減や味付けにいつも指摘をされて中々合格点を貰えなく、やはり料理なんて向いてないなと思った。
今日は獣の肉のソテーに魚の目玉焼き、おまけ程度に野菜を盛り付けており、上から味のついた汁が掛かっている。今日は焦がしたりしなかったのでいつもよりはまともな評価を貰えればいいなあ、なんて思いながら料理をリビングに運んで行くと、そこには既に椅子に腰をかけて休憩をしているオペラがいた。

「遅いですね男主、6分と6秒待ちました」

ナイフとフォークを両手に持ち、子供のように構えるオペラの姿は幼少期のやんちゃな頃を思い出させる。僕は適当にあしらいながらオペラの前に料理を並べ終わると、オペラは何も言わずに料理にフォークを突き立てては口へと運んだ。

「おや、少しは手の込んだ料理を作れるようになってきたのですね」
「まあ、料理なんてレシピ見れば誰でも作れますので…。それに僕もいつか入間様に振る舞いたいですから」

オペラが興味無さそうに相槌を打つ中僕はオペラの正面の椅子に座ると、ナイフとフォークを持っては手前にあった料理を自分の皿に盛り付け始める。ナイフで食べやすい大きさに切って食べると、お腹が空いていたためかとても美味しく感じた。

「……ふむ、少し味付けが濃い…調味料を入れすぎましたかね」

魚の目玉焼きを食べ、口をもぐもぐ動かせながら言うオペラ。確かこれの味付けは獣の汗からとれた塩だったはず、少しかけすぎてしまったのかなあ。そんなことを思いながら味を確認するためにそれを口に運ぶ中、オペラは話を続けた。

「私はこのぐらいのが好きですけど、サリバン様や入間様には薄味で大丈夫です」

「…わかりました」

僕は言われた事をメモに記そうと思い、ナイフとフォークを置いてポケットからメモとペンを出して書き込むと、オペラは水を1口飲んだ。

「それ以外は特に問題なさそうですね、焼き加減も具材の大きさも範囲内です。試しに本日の夕食に男主の料理を出してみましょうか」
「えっ、出すの?」
「はい。まずは慣れることが大事ですからね」

さ、早く食べてください。オペラはそう言って席を立った。もう食べ終わったのかとテーブルの上の料理を見ればいつの間にか減っており、僕の分だけが残されていた。早く食べてしまおうと獣のソテーを1口サイズに切って口に入れると、想像よりも塩辛くて少し反省した。