ステージの上で歌って踊る涼はカッコよくて俺の自慢の友人だった。876の時もキラキラと輝いていたが、今では違う輝きを放っていて日々進歩しているのが分かる。
涼がファンサをする度、心が射抜かれると共に成長したなととても心に来る。前はカッコイイポーズを決めるにも照れていたのに、今ではウインクして投げキッスをしてしまう。
今の涼は自分がなりたかった姿になっていて、喜ぶべきなのにいろんな感情が入り乱れてしまいその場で泣き出してしまった。成長してくれて嬉しいと思う反面、寂しさもあり、感謝もあった。

公演終了後、俺は涼に今日の感想をメールで送った。本能のままに感じたことを書いてしまってめちゃくちゃ長いし意味不明になってしまったが、涼なら許してくれるだろうと思った。明日どんな顔で会えば良いだろう。そう思いながら会場を後にしようとすると、涼から電話が掛かってきて思わずスマホを落としそうになった。人気の以内場所に行って恐る恐る通話中にすると、涼の声が聞こえてきた。


「男主くん、ライブに来てくれてありがとう」

「ああ、うん、どうも……」


あのクソ長ったらしい文面を送った後なので何だか恥ずかしくなってしまい、最悪な出方をしてしまった。すると涼は俺の出方に笑い出して、余計に恥ずかしくなった。


「それで要件はなんだよ」

「あの、お礼が言いたくて…。僕、今日このステージに立てて本当に良かった。それにはいろんな人の手助けが必要で、その人達にとても感謝している。その中に男主くんもいるんだ。僕が弱音を吐きそうになったら励ましてくれたり、いろんな大事なことを気付かせてくれた。315プロの秋月涼として活躍出来てるってやっと実感して、もっと輝きたいと思った。ここまで来れたのは男主くんのお陰でもあるんだ。本当にありがとう、僕は今凄い幸せだよ」


涼の言葉に俺はただ泣くことしか出来なかった。あんな弱々しかった涼がこんなに男気溢れる青年に育ち、泣かされるなんて思いもよらなかった。


「今のお前は世界一輝いてるよ」


涙を拭いながら言った直後でクサいセリフ言っちゃったなあと思ったが、涼は電話越しからでも分かるぐらい嬉しそうな声でお礼を言った。
どうやら忙しかったようで、続きはまた明日と言われて電話を切られてしまった。そんな忙しい中電話をわざわざ掛けてくれた涼に、心から感謝した。心が満たされ過ぎて不思議と顔がニヤけてしまい、俺も幸せだなあと思った。