目が覚めると冷たい空気を感じたので布団を頭まで被った。布団の中は暖かく、今日は早く起きるつもりだったが眠気に誘われて二度寝してしまいそうになる。
あと少し、そんな事を思っていると「主」と声が聞こえた。眠気に勝てなくそのまま黙っていると、今度は体を揺らされた。


「朝ですよ。起きてください」


軽く揺らされるので少しだけ目が覚めたが、なかなか起きる気にはなれない。
僕は寝返りを打ち、大きな欠伸をした。もうこのまま寝ていたい、そんなことを思っていたら、今度は布団をゆっくり捲られた。
視界の先には前田と平野が並んでこちらを見ていて、僕は冷たい空気に当てられて少しだけ身震いをする。


「……寒い」

「居間に行けば暖かいですよ、仕度をしましょう」


前田の方を見ると、側には用意してくれたであろう僕の服があり準備満タンと言う感じだった。
僕は有難く思いながらも布団を再び頭まで被り、目を閉じた。後5分、いや10分。そんなことを思っていると、今度は勢いよく布団を捲られた。捲られたと言うよりかは剥ぎ取られたに近い。呆気にとられていると、そこには先程まではいなかった一期一振がいて、僕がかけていた布団を持っていた。


「おはようございます主殿。朝ですよ」


とてもいい笑顔で言う一期一振に、なんとも言えない圧力を感じ、僕は素直に起きることにした。
即座に起き上がって正座をすると、一期一振は布団を畳んで前田と平野の頭を人撫でして部屋から出て行った。僕は安堵をして正座を崩すと、前田は僕の側でしゃがみ込む。


「身支度お手伝いしますね」

「……いや、大丈夫だよ」


2人も暖かい居間に言ってて、と親切心で言ったのに頑固拒否されてしまった。どうやら僕がまた寝てしまわないようにちゃんと居間まで連れて来いと長谷部に言われているらしい。
長谷部は良くわかってるなと思いながら立ち上がり、まずは顔を洗いに行った。