四つ子の家に来た。生憎遊矢以外の兄弟は部活や用事でいないらしく、俺はユートに用事があったため帰ってくるまで家で待たせてもらうことにした。


「今日ユートと何する約束だったんだ?」

「ゲーム。わからないクエストがあってユートに教えてもらおうと……」

「へえ。俺ゲームはあまりやらないからなー」

「遊矢の趣味らしい趣味知らないかも」

「カードゲームは好きだぞ」

「それは昔から知ってる。そんなんじゃなくて遊矢らしいものとかさ」

「エンタメとか?」

「うーん」


少し悩む。
遊矢は四つ子の次男であり、四つ子の中でも常識人的ポジだ。
別に他のやつらが個性的って言う意味でもないが、少し癖があるくらい、特にユーリとか。


「ま、そんなところが遊矢なんだよ」


あくびをしながら俺は言った。
随分と適当な返答だと自分でも思うが、ぼーっとしていると眠気が襲ってきてあくびばかり出てくる。


「眠いのか?」

「ああ」


俺は首と肩を回しながら言う。


「ユートが帰って来るまで寝てるといいよ」

「すまない」


俺はそのままソファーで腕を組んで寝ようとしたところ、遊矢に肩を掴まれ、遊矢の膝の上に体を倒された。


「膝枕してやるよ」

「えええ硬い男の足で寝ろってか……まあ良いけど」


俺は素直に遊矢の膝に頭を乗せ、腕を組んで目をつぶった。
俺が意識を手放した中、遊矢が俺の頭を撫でていたことを俺は知らないし、ましてやほかの兄弟が帰ってきた時に遊矢が後にフルボッコを受けることになっていることも俺は知らない。